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 同じ事務所(SMA)のハリウッドザコシショウやバイきんぐ小峠らが「ネタもトークも大喜利もいけるオールマイティ芸人」と評する渡辺が、稀代のボケ・長谷川雅紀と出会い結成された錦鯉。このコンビにとってのM−1は、オズワルド伊藤にとってのそれとはだいぶ違っていた。

「コンビ組み立てでネタもあんまりなかったから、毎月ネタをいっぱいやるライブをやりだしたり。でもM-1に向けてという感じじゃなかったですね」 。

 キャラの強すぎる長谷川の横で「じゃない方でいたい」と臆せず語る渡辺。

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「本当に面白い人だったんで。本当に華のある人ですし。あの人がいるだけで舞台も明るくなるし。きっかけ一つでテレビで活躍する人になるなってずっと思っていましたね、雅紀さんのことは」。

M−1で、おじさんがただデカい声で挨拶する衝撃

 そのきっかけとは、長谷川の「バカを出す」こと。「コンビ結成して最初はあんまりウケない感じだったんですけど、ハリウッドザコシショウから『もっと雅紀さんのバカを出していった方が良い』とアドバイスされて」「それでしょっぱな挨拶するようになったり、もっと動くようにしてみたり」。 

 アスリート性の高いM−1で、ただデカい声で「こーんにちはー」と挨拶する長谷川は衝撃をもって迎えられた。

「一番おじさんが一番人間の基本やってましたからね。大きな声であいさつするという。ああ基本って面白いんだなって思いましたけど、未だになんでウケてるのかわからないんですよね。ただでっかい声で挨拶してるだけなのに」。

 渡辺は長谷川を「避けようのない自然災害みたいな人」と表現する。「猛獣だったら、まだ手なずけられる気がするんですよ。一応向こうも生きてるものじゃないですか。彼は災害ですから。自然ですから」。