2021年(1月~12月)、文春オンラインで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。ライフ部門の第4位は、こちら!(初公開日 2021年9月11日)。
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「都内を流れる川に1メートルを優に超える魚が生息している」
ある時、こんな興味深い話を聞いた。大物ハンターでも何でもないただの釣り人の私でも、得体の知れない存在に「一体どんな魚なのだろうか」と釣り少年時代に感じた興奮がよみがえった。しかも、それが「ヌシ」と呼ばれるような幻の魚ではなく、巨大な魚がゴロゴロ泳いでいるらしいので、なおさら自身で釣ってみたいという気持ちがわきあがってきた。
今回は、東京都と千葉県の境を流れる「江戸川」で、私が実際に体験した巨大魚釣りを紹介したいと思う。
1メートル超えの魚の正体とは?
最初にネタばらしをしてしまうと、ターゲットとなる大型魚の正体は、中国四大家魚というコイ科の魚である。
そもそも中国四大家魚とは、その名の通り中国から食用として日本に移入された魚で、ハクレン、ソウギョ、アオウオ、コクレンの4種類のことを指す。この4体を池に放つことで、それぞれの食性が相まって上手く池の生態系が保たれるらしい。
現在食用として日本の食卓に並ぶことはほとんどないが、かつて河川に放たれた個体が今でも我々の身近なところで繁殖しているのだ(※コクレンは不明)。
その4体の中でも、今回私が狙うのはソウギョ(漢字で書くと草魚)だ。“草”と書くだけあって主食は草である。1メートルを超える魚体の運動エネルギーを草だけで補うほど徹底したベジタリアン。会ってみたい……。
ということで、この大型魚、ソウギョを釣るべく江戸川に足を運んだ。
まずは現地調査で生息地を絞る
関東を流れる一級河川・江戸川、その流域のどこに生息しているのか。
ポイントを絞り込むうえで重要なのが、ソウギョの餌となる草、つまり水際に生えたアシの群生地を探ることにある。