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困りごとから探せば、どこに何の相談に行けばよいか明確になる

──相談窓口で「空振り」しないためには、どうしたらよいのでしょう。

黒田 どんな制度があるかを知ることも大事ですが、自分の困りごと別に整理すると、必要な支援が見えてきます。例えば、医療費が高くて困っているのか、がん治療のために休職して収入が低下し困っているのか、医療費を借りたいのか、税金の還付を受けたいのか。困りごとから探せば、自分がどこに何の相談に行けばよいかが明確になるはずです。

『がん患者(サバイバー)が教えてくれた本当のところ がんとお金の真実(リアル)』(黒田尚子著 セールス手帖社保険FPS研究所)より

──いろいろなことをまとめて相談できる窓口はないんですか。

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黒田 「がん相談支援センター」があります。全国に400施設以上ある「がん診療連携拠点病院」や「小児がん拠点病院」「地域がん診療病院」に設置されている、がんに関する相談窓口です。ただ、認知度が低いことが大きな課題となっています。「こんなこと相談していいのか」と遠慮して行かない方もいるようですが、利用者が増えればそれだけ事例が集まり、相談員のスキルも向上しますので、積極的に利用してほしいですね。

港区ではウィッグや胸部補整具への助成金を始めました

──公的制度も、患者のニーズに合ったものが増えてきました。

黒田 ここ数年はがん患者のアピアランス(外見)ケアへの助成金支給制度を導入する自治体が増えています。今年の5月からは、東京都港区が、がん患者を対象にウィッグと胸部補整具への助成金を始めました。ウィッグは男性も利用できるそうで、半年間で50件の申請があったといいます。ウィッグのみを対象とした自治体はほかにもいくつかありますが、胸部補整具も対象となるのは関東では初めてで、助成金額も「3万円」または「購入経費の7割」のいずれか低い額と手厚くなっています。東京都は乳がんの罹患率がトップクラスなので、都内のほかの区にも支援が広がっていくことを期待したいです。

 

──こういう情報も、自分から調べないと分からないのでしょうか。

黒田 港区のアピアランスケア助成は、区報での告知や近隣の病院などへ案内を送付しています。病院の待合室には、お得な掲示やパンフレットなどが置いてあることが多いので、日頃から他人事だと思わずに、こまめにチェックするといいと思います。