実家ではあまりくつろげないケースも
なかには、親戚の新年会を避けるために「年末年始は仕事がある」とウソをついて、帰省の時期をズラしている、という処世術を実践する人もいた。しかし、たとえ親類の会合がなくても、あまり実家ではくつろげないというケースも。
「帰省する度に両親が老いているように感じて、それが悲しくて一緒にごはんを食べながら泣いちゃうんですよね……。両親は私が“ただの泣き上戸”だと思っているので気にも留めませんが、実家は親の死を考えるタイミングがたくさんあるのでつらいです」(31歳・女性)
「寝具が変わると眠れなくなるので、旅行中はもちろん、実家にいる間はずっと寝不足なんです……。温かい布団や毛布など、いろいろと用意してくれる両親には申し訳ないんですけど、できれば夜は自分の家で寝たい」(26歳・女性)
「東京にいるときは何も言わないのに、実家に帰るといまだに門限を設定される。地元の友だちと集まるから遅くなると伝えても『何時に帰るの? ごはんどうするの!?』という電話がかかってきて、朝帰りをしたら普通に怒られた……」(24歳・男性)
そのほか「実家ではやることがなくヒマすぎる」という声も。一度家を出ると、自分の家でありながら、自分の家ではない感覚に陥るようだ。
結婚へのプレッシャーで実家が遠ざかる
峰田夏美さん(仮名・33歳)は、26歳を過ぎた頃から地方にある実家への帰省が億劫になっていったという。
「私のように地方出身で親元を離れている子はわかると思うんですけど、東京に比べて、地元はとにかく住民同士の情報が筒抜け。年末年始に帰る度に『中学の同級生だった◯◯ちゃんが結婚したらしい』とか『△△くんの家に子どもが産まれたらしい』とか、私が覚えていない同級生の現状を母の口から聞かされるんです。そして最後には『あんたは結婚どうすんの?』と訊かれる。その無限ループなんですよ」
電話やLINEで結婚の話をされたときは、強制的に話を終わらせられるが、実家では逃げ場がない。峰田さんは、家族には会いたいけど、帰省するとケンカになるから帰りたくない……というジレンマを抱えている。