今回は、歯をケアすることがアンチエイジングの基本と説く歯科医の宝田恭子先生をお迎えし、歯と骨の健康について考えました。

 

大切なのは歯と姿勢

宝田 私がいつも言うのは、まず、自分は何歳を生きているのかを自覚し、老いから目を背けるのではなく、いま自分がどの状態にあるのかをしっかり受け入れましょう、ということなんです。

 大事なのは、自然な形で若さと健康を維持し、最期まで充実した人生を送ること。そのために、日々のセルフケアが大切になってくるんです。高額な美容法に頼るのではなくてね。50歳は人生の新しいスタート。そう考えれば、60歳はまだ10歳、70歳はやっと20歳なんです。

ADVERTISEMENT

野宮 私はまだ10歳ね。

松本 私は年長さんかな。

渡辺 私は赤ちゃん(笑)。

宝田 みなさん、これからですよ。ではまず、骨の話から。女性の場合、閉経を過ぎると骨粗鬆症になることはよく知られていますが、それに伴い身長も縮むんです。60ぐらいで約1センチ減ると言われていますが、速い人では50代で1センチ縮む人もいるんです。

全員 えーっ!

宝田 そして、頭蓋骨も縮みます。これは必ず。

渡辺 えっ? ショック!

野宮 帽子がブカブカになっちゃうんですか?

宝田 骨というのは、30ぐらいからちょっとずつ減るんです。それが自覚症状として出るのが70ぐらい。ある研究によれば、40代の頭蓋骨量が約650グラムであったのに対し、70代は約280グラムにまで減少した事例もあったと。

全員 ええ~っ!!

『週刊文春WOMAN vol.12(2022 創刊3周年記念号)』

宝田 そして、顔面骨と腰椎骨の骨密度を比較した研究によれば、顔面骨のほうが骨密度の減少率が大きく、骨密度が低下しはじめる年齢も若い。腰椎は61歳以上なのに対し、顔面は41歳から低下をはじめると。

松本 じゃあ、目元がくぼんできたりするのは?

宝田 骨が縮むからなんです。そうすると、その上に乗っている筋肉や皮膚も必然的に垂れていく。それが「顔面地滑り」です。

渡辺 恐ろしい!

野宮 防げますか?

宝田 それにはやっぱり、「噛む」こと。骨を増やすには、たんぱく質やカルシウム、コラーゲンの摂取が必要なのはご存じと思いますが、それがちゃんと骨になるには、適度な振動を与えるのがいいとわかっています。なので、奥歯をしっかり使って食べるように心がければ、噛むことで振動が増え、頭蓋骨や顎骨の縮小や粗鬆をくい止めることが期待できるわけです。

松本 やっぱり歯が重要。

宝田 そして姿勢です。「正しい姿勢で噛む」こと。背筋を伸ばし、胸を開いた姿勢で腰かけ、奥歯で均等に噛んで食べる。猫背でうつむいて食べていると、頭蓋骨に響いて変化を起こしてしまうんです。下顎骨、いわゆる下顎が前に押し出されてしまったり、目のまわりの骨の破壊が起こり、眼瞼下垂が起きてきたり。

全員 えーっ!!!

渡辺 え、今から姿勢を正すのでは遅いですか?

宝田 全然大丈夫です。私は46から姿勢を正す食べ方を心がけるようになりましたが、続けていると全然違います。いまもう65を過ぎましたけれども……。

全員 先生、若っ!