新型コロナウイルス感染者の急増で病床がひっ迫し、韓国の医療は崩壊の危機に瀕している。
韓国政府は、重篤な症状のコロナ感染者を重症者用病床に入院させ、危険がないと判断した感染者は軽症者を隔離して管理する生活治療センターに入所させている。
しかし病床不足により重症患者が生活治療センターに入所させられたり、軽症者が自宅療養を余儀なくされる例が相次いでおり、生活治療センターや自宅で病状が急変して死亡する人も増えている。
「ウィズコロナ」から1ヶ月で……
韓国政府は21年11月1日、段階的な日常生活の回復を目指すウィズコロナを宣言して、規制を緩和した。私的な集まりの人数制限を首都圏は6人から10人へ、首都圏以外は8人から12人へと緩和し、行事や集会の人数制限も緩和。飲食店やカフェ、映画館などの営業時間制限を解除した。
ウィズコロナ後、最初の週末となった6日には人数制限の緩和に伴い、ソウルの都心で20余りの団体をはじめ、各地でさまざまなデモが行われた。また14日には3000人規模のK-POPコンサートが開催された。
各観光地も賑わいを見せるようになった一方で、コロナ感染者は増えはじめた。2000人前後で推移していた1日あたりの新規感染者が11月16日には3000人を超え、12月1日にはなんと5000人を突破した。
規制と緩和の繰り返し
韓国は規制強化に伴う感染者の減少と緩和による増加を何度も繰り返してきた。
韓国の新型コロナウイルス感染症拡大の発端となったのは教会だ。2020年2月、キリスト教系の新興宗教団体「新天地イエス教会」の信者から感染が広がったのである。韓国政府は教会の集まりを規制し、3月22日から4月5日までの2週間を「社会的距離の確保を強化する期間」と定め、国民に外出自粛を要請した。
ドライブスルー診療所を設置して検査を行うなど対策を強化し、「社会的距離の確保」を5月5日まで延長した。新規感染者が10人以下となると、文在寅大統領は「K-防疫」の素晴らしさを国内外に自慢し始めた。ところが、その途端、梨泰院のクラブから大量の感染者が発生して、再び規制は強化された。
政府は以降、感染者が増加する都度、規制を強化してきたが、コロナワクチンの接種率が30%に迫った21年6月、規制を緩和する方針を発表。その直後から再び感染者が急増して、9月末には3000人を記録した。