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おさるが大事にする、「わかりやすさ」

 パッと出たら客が3人だったとして、3人だからやる気出ないっていう人もいるし、3人だからかえって100%やってみる人もいる。僕は後者の考えになってます。こんな頑張ってるのにお金にならないとか、そこがまた面白いというか。

 僕が体を鍛えてるのも、お笑いに関係ないっちゃ関係ないし。書道もお笑いも別に筋肉なくてもできるし。筋肉つけたからって家族が喜んでるわけでもないし。毎日逆立ちして「危ないなあ」とか言われてるし。 

 
 

――逆立ちして書道するとかもう意味がわからなくて面白いです(笑)。 

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おさる プランシェっていって、腕立て伏せみたいにして足を浮かせる体操の技があるんですけど、実は今年の1月1日からずっと練習してて、ついに5月にできたんです。「できたー!」ってかみさんに見てもらったら喜んではくれたんですけど、「これが何かパフォーマンスになっていくかもしれない」って言ったら、かみさんが「それはないね」って一言。

「かたちにしようと思ってるんだったら逆立ちだよ」って。「一般の人はプランシェなんか言葉も知らないし、技見せたって『なにこれ』って言って終わるよ。だったら逆立ちの方がいい。下にあったものが上にあるだけでオォーッてなるから」って言ったんです。 

――師匠、すごすぎる。 

おさる 師匠にそういわれて、5月からは毎日逆立ちしだしたんです。イベント行ったら、逆立ちして、足で「うれしいY!」ってやる。できれば「オォーッ」ってなるし、できなくても笑いになる。 

「うれしいY!」を披露していただいた

――アドバイス通りだった。 

おさる プランシェの方が100倍ぐらい辛いんですよ。だけど師匠的にはそれではダメみたいです。「すごいって言われたらすごいのかなとは思うけど、だけどわからない」って。「“逆立ち”の方が文字的にも映えるから、“倒立”ではなく“逆立ち”って言ったほうがいい」とまでアドバイスされました。 

――敏腕編集者の視点! わかりやすさってすごく大事なんですね……。 

おさる 僕、保育園で書道教えるのをライフワークにしてるんですけど、そこでもやっぱり、わかりやすくないと子どもは全くついてきてくれないですよ。時事ネタもいらないし、こねくりまわした話もいらないし、オチがある話もいらない。みんなが見てたり聞いたりするものをポンと出すのが一番いいんですよ。