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大塚 誰かから「どのアーティストが好き?」って聞かれた時に、本当は好きでいてくれていても、やっぱり「大塚愛!」とは言いにくいところがあるのは、自分の中でもわかっているんです。そこで私の名前を出したら、「へぇー……」ってなっちゃう雰囲気というか。最近は時代も変わって、今の若い人たちはそういうのを気にせずに言えるようになってるというのも、何となく認識はしてるんですけど。

――そういう空気があるとすれば、それはなぜだと思われますか?

大塚 何なんでしょうね。でもやっぱり、歌唱力がすごいとか、サウンドがもうめちゃくちゃかっこいいとか、そういうアーティストのことを好きって言うと、ああ、そうだよねって共感を得られると思うんです。だから、かっこいいの定義もよくわからないんですけど、みんなが「すごくいい曲だよね」というものを出したときに、初めて「大塚愛とは恥ずかしくて言えない」みたいなものが取っ払われるのかなという気がします。

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「楽曲提供の人」になろうと思っていた

――「かっこいい」というイメージが自分にはまだ足りない、ということでしょうか?

大塚 やっぱり声の印象が強いのかな、とは感じていまして。音楽を聞いて、それがかっこいいのか、かわいいのか、何なのかとカテゴライズするときに、まず判断材料になるのは歌声だと思うんです。でも、私の声を聞いてかっこいいって言う人は、たぶんいないんですよね。

――自分の声は好きですか?

 

大塚 もともと、声の魅力は皆無だなって思ってます。ボイトレもやってみたものの、凄い歌唱力が必要な歌を歌えるかっていうとそうでもなくて。そもそも、私が普通に歌うときの声って、リリースしている声とは全然違うんですよ。そういう普通の歌声が全然魅力的じゃないというところから始まって、これじゃあダメだな、歌手はちょっとないなと。まぁいいか、それなら楽曲提供の人になろうと思ったんです。

 じゃあ売れそうな曲を作ろうってなったときに、でも楽曲提供するにしても仮歌が必要だと。ただ、アッパーな曲を書いても、自分の普段の歌声では合わなすぎるから、曲に合わせて声の出し方を変えてみたんです。そうしたら今みたいな歌声になったという。

――思わぬところから、今の歌声に繋がったんですね。