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「いいとも」に出演したことで僕の人生が開けた

 それからは、いいともが終わったら、ほぼ毎週、一緒に昼食を食べる関係になりました。その当時、SMAPはドラマ班とバラエティ班に分かれていて、僕はどっち付かずだった。でも、タモリさんと番組でお会いするのが楽しみになって、「僕にも居場所がある」と思えるようになったんです。いいともに出演したことで、僕の人生が開けました。

草彅剛さん

 ある夏の日、タモリさんが「船に乗るからおいで」と言うので、行ってみたら、会ったことのないタモリさんの友だちばかりでした。東京湾を一周する間に、手品を見せてくれたり、みんなでゲームをしたり。お酒も飲みましたが、何を話したかはあまり覚えていません。でも、その後に残るのはタモリさんのやさしさと、楽しかったという感覚。ちなみに僕の親友の一人は、そこにいたタモリさんの友だちの一人です。

人を否定しないけど、褒めることもほとんどない

 いいともが終わったときは、やっぱりさみしかった。毎週、20年近く通い続けましたから。でも、タモリさんとの交流がなくなるわけではないと自分に言い聞かせて、「次のステップを模索しなくちゃ」と思いました。今は「ブラタモリ」(NHK)のナレーションで、ご一緒させていただいています。タモリさんに選んでいただいたのかどうかはわかりませんが、いいともが終わっても、そうやって関係性を持てたことがとてもうれしいです。

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 タモリさんって、人を否定しないけど、褒めることもほとんどないんです。でも、「ブラタモリ」は褒めてもらえました。番組が始まる前、「俺と一緒に歩いている感じで、力入れずに読んでくれたらいいから」と言ってくださったので、そんな感じで読んだら、1回目の放送後に「よかったよ。ナレーション」ってメールが来たんです。

 褒めてもらえたのは、それくらいかな。基本的にタモリさんとは仕事の話はしないんです。SMAPを解散した直後も、いつもと変わりませんでした。ご自宅を訪ねたときに、若干いいウイスキーを奥から出してくださった。何も言わないから、わからないけど、それがタモリさんのやさしさだったり、配慮だったりすると思います。