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小田 かなちゃんからその話を聞いて、「あれ? 北川悦吏子は?」とも思ったんですけど、私も仕事で大変な時期やったこともあって、いいなあって。ちょっとときめいて、じゃあ私も出ようかなと思って出たら、妙に楽しくて。

彼方 私は1回戦で駄目やったんですけど、小田さんがあれよあれよと言う間に準決勝まで行ったんです。それに味を占めて、「M-1もやってみいひん?」って。

小田 その前年のM-1はアンタッチャブルさんが優勝されてたんですけど、私達2人ともアンタッチャブルのファンやったから、それを見てて楽しそうやなっていうのがどっかにあったんやと思います。

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©文藝春秋 撮影=鈴木七絵

控室には大勢の芸人「ディズニーキャラクターみたい」

――2005年の第5回大会で、初出場にしていきなり準決勝まで進出されました。手応えはありましたか。

小田 1回戦に出たときに、私達が意図してたところでちゃんと笑ってもらえたから、「ここは通るわ」と思ったんですよ。でも実際に通ったときは、「ほんまに通るんや」とすごいびっくりしました。そのあともなんだかんだウケて……。

彼方 当時は同じネタを繰り返し使ってもバレなかったんですよね。私達は遠距離であんまり稽古ができないから、大元のネタは1本しか作ってなくって、しかも予選がネタ下ろしやったんです。そこで客席の反応を見て、ネタを足したり引いたり直しながらやってたんですよ。ネタを披露できる時間が延びたら、延びた分をまた作って付け足すみたいな感じで。

©文藝春秋 撮影=鈴木七絵

小田 今みたいにSNSも発達してなかったし、1回戦の動画がネットにアップされるなんてこともなかったからか、準決勝まで行けました。そんなとこまで行くとは全然思ってなかったけど、嬉しかったな。

彼方 準決勝の会場がNGK(なんばグランド花月)やったから、もう憧れの場所じゃないですか。嬉しくて嬉しくて、初出場のときはそこがゴールでしたね。敗者復活戦は神宮球場で、控室に色んな芸人さんがいるんですよ。ディズニーのキャラクターが勢揃いしているような感覚で、もうワクワクが止まらなかったです(笑)。

小田 でも大人やから、話しかけたり写真撮ったりしてもらうのは我慢しました(笑)

「芸人さんが温かく迎えてくれて、もうそれで十分やった」

――翌年の第6回大会ではファイナリストにまで上り詰めています。決勝進出は目標にしていましたか。

小田 全然! プロアマ問わずって言ってるけど、絶対そんなん言ってるだけで行かせてくれるわけないと思ってました。だから無欲ってすごいなと。

彼方 私も絶対ないと思ってました。それより前年の敗者復活戦でトップクラスの芸人さんのネタを間近で見れたのが楽しくて、もう一回敗者復活戦に行って色んな芸人さんのネタが見たかった(笑)。だから準決勝でものすごいウケたとき、これで敗者復活戦への切符は手に入れたなと思って喜んでました。

©文藝春秋 撮影=鈴木七絵

小田 私らがここと思ってるところが全部ウケて、出番が終わって袖に入ったら笑い飯の哲夫さんが「お疲れさん」って声かけてくれはったんです。ウケたらこんなこと言ってもらえるんや、と。

彼方 ウケた芸人さんはちゃんと認めてくれるって感じでした。他の芸人さんも温かく迎えてくれて、もうそれで十分やったから「早く飲みに行こ!」って。

小田 決勝進出者の発表なんか行く気なかったです。行けるなんて1ミリも思ってない。