ちょっとディープなパチンコ・パチスロファンなら、大晦日といえば「三重のオールナイト営業」のことを連想するかもしれない。 

 打とうと思えば、40時間ぶっ通しで遊技することも可能。紅白歌合戦など観ず、カウントダウンイベントに参加することも、初詣に繰り出すこともなく、ひたすらパチンコ・パチスロを打ち続ける。そんな人たちが全国から伊勢に集うのだ。 (取材・執筆=柳屋悠太/清談社) 

筆者が向かった三重のパチンコ店(筆者提供)

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オールナイト営業に備え、30日夜から並んだ

 パチンコ・パチスロ店は、風適法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)により、午前0時より午前6時までの営業が禁止されている。各自治体によっては、これより短い営業時間が定められている地域もあるが、基本的には0時にはどんなパチンコ店も閉まる。 

 しかし、三重県だけは年に1度の大晦日だけオールナイト営業が許可されているのだ。 

 これは「伊勢神宮の参拝客がトイレを利用するため」といわれているが、はっきりした経緯は不明で、ある資料によると1985年から続けられているという。 

 通常、三重のパチンコ店は9時スタート、24時閉店の15時間営業。そこに普段は休んでいる9時間を連続営業し、さらに1月1日の9時から特別延長の25時までの16時間を足して、計40時間、打ちっぱなしOK。 

 このノンストッププレイを求めて、全国からファンが押し寄せる。遊技時間が長ければ、自己最高出玉を更新できるかもしれない。逆に、過去最高のマイナスを更新することも容易いのだが……。 

今回の軍資金(筆者提供)

 さらに今年はパチスロ5号機の撤去直前というプレミア感もある。 

 パチスロ機は遊技機規則の改正ごとに世代が替わり、現在は6号機が認定されている。それ以前の機械は順次撤去されるのだが、前世代の5号機は2022年1月までの完全撤去が義務付けられている。 

 つまり、この正月が、出玉規制のゆるい5号機を心ゆくまで愉しむ最後のチャンスといえるのだ。 

 そこで、筆者は三重のオールナイト営業に挑むことにした。目指すは40時間打ちっぱなし。並の体力ではもたないので、ギリギリまで休んで……などという甘いことは許されない。人気の機種は争奪戦となるので、入場するためには前日の営業終了時、つまり12月30日の夜から並ばなくてはならない。