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若者は「韓国がまた古くさい国になってしまう」と…

 30代の大手IT企業に勤める会社員(女性)もやはり投票したい候補者がいないと言う。

「李候補は、自身の推進力を誇りますが、国家を運営するのにそんなに力強い推進力が果たして必要なのかという疑問がわきます。何よりスキャンダルが多すぎる。スキャンダルそのものよりも、まずいことが発覚するたびに見せる態度がとても不遜なのが許せません。この程度話しておけば、あるいはこう振る舞っておけば国民はすぐに忘れるだろう、通用するだろうと思っているのが透けて見えて、バカにするなと言いたくなります。

 かといって、尹候補がいいかといわれるとため息しかでない。検察という組織では能力を発揮できたかもしれませんが、選挙陣営の右往左往を見ているとリーダーに必要とされる調整能力に欠けているし、会合などで大股広げて座る姿はあれだけで前時代的な価値観を象徴していて、韓国がまた古くさい国になってしまうような気がして、本当にどちらにも投票したくない。今回は投票権をもらって初めて棄権するかもしれません」

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李在明・与党「共に民主党」大統領候補 ©getty
尹錫悦・最大野党「国民の力」大統領候補 ©️時事通信社

 支持率下落に危機感を覚えた尹陣営の金鍾仁総括選対委員長は、年明け1月3日、突然、選挙対策委員会を改編することを発表した。この発表を受けて委員会の幹部ほとんどが辞表を出すという前代未聞の事態となったが、発表自体を尹候補者が知らなかったことが分かり物議を醸した。

 5日、尹候補者は選挙対策委員会解散を発表し、キングメーカーとして三顧の礼で迎え入れた金総括委員長は総括委員長から退くこととなった。前出記者が解説する。

「大雑把に言えば、尹候補の側近と党(国民の力)内部の権力争いの末に起きたこと。結局、“上皇”(金総括委員長)がこのままでは勝てないと焦ったのでしょうが、選挙まで2カ月のこの時期での陣営改編は今まではあり得なかったこと。準備不足も露わになった」

 尹候補者から離脱した支持者は野党「国民の党」の安哲秀候補に流れていると分析され、安候補は大統領選のダークホースとして急浮上。一ケタ台だった安候補の支持率は15%にまで上がった(1月7日、韓国ギャラップ)。20~30代での支持率も尹候補者を上回っており、一騎打ちの構図に影響を及ぼすか注目が集まり始めている。