コロナ禍でマスク生活が常態化したことで、大人でもマスクの下で“ぽかん口”になっている人が多いが、そうではない理由でつねに口を開けている子どもが増えているのだ。
口が開いていれば口の中が乾いて、子どもといえど歯周病や口臭の元になる。ウイルスや雑菌が乾いた喉に到達しやすくなるので、感染症のリスクも高まる。
「本来『上あご』に接しているべき舌が下がってしまうので、就寝中にいびきをかくようになります。いびきは空気の通過障害が起きていることを意味します。これは脳の発達に影響し、将来の閉塞性睡眠時無呼吸症にもつながります」
「食べる」で身についていく「呼吸」
そもそも “健康”を云々する前に、口を閉じること、鼻で呼吸することは、“しつけ”として身に付けられるべきものだと言う人もいるだろう。ただ、理由はどうであれ、鼻呼吸ができていないのは子どもにとって気の毒な話だ。
なぜそうなるのか。岡崎氏が解説する。
「理由は色々考えられるのですが、一番の要因は、赤ちゃんの時の食べさせ方。離乳食をスプーンで食べさせる時に、スプーンを赤ちゃんの口の中まで入れて食べさせる親御さんが少なくない。これを続けると、赤ちゃんは何もせずに口の中に食べ物が運ばれるのを待つようになってしまう。
そうではなく、赤ちゃんの口の数センチ前でスプーンを止めて、最後は赤ちゃん自身の意思で食べ物に食らいつくようにすることで、唇を上手に使って食べ物を“摂取する”ことを学べるようになるのです」
岡崎氏によると、子どものオーラルフレイルの要因は他にもあるという。
自分で食器を使えるようになる年齢なのに、いつまでも親が箸などで食べ物を与えたり、子どもがお菓子やパンをスプーン、さらには手づかみで食べようとしても、「危ないから」「散らかるから」という理由で取り上げる、など、「食べる」という行為に対する子どもの自主性を妨げることで、子どもは口本来の機能を手に入れにくい環境ができ上ってしまうのだ。
逆にいえば、いま赤ちゃんなら、今日から取り組みを変えることで「子どものオーラルフレイル」を回避できるかもしれない。