「生後6カ月頃から“歯固め”といって噛む練習が始まります。最近ではプラスチックや木製の専用のおもちゃを使うことが多いのです。
昔は、コンブや干しタコ、塩抜きしたたくあんや、かつお節などを与える地域もありました。いずれも誤嚥を防ぐために大きなものを使うのですが、こうした身近な食材を与えることで、子どもが“噛む”“しゃぶる”“味わう”ということを覚え、この工程を経るうちに唇や舌の筋肉が発達し、自然に“鼻呼吸”に移行していくこともできるのです」
トレーニングで改善も
また、すでに「ろうそくの火を吹き消すことができない」段階だったとしても、トレーニングで回復は可能だと岡崎氏はいう。
「“ピロピロ”と呼ばれるおもちゃ(吹き戻し)を使った遊びや“ブクブクうがい”、あるいは風船ガムも効果的です。風船ガムなどはオーラルフレイルでなくても膨らますのにテクニックが要るので、最初はみんなが苦戦する。それでも練習するうちに段々膨らませられるようになり、それに合わせて唇や口、舌を上手に使えるようになるものです」
ガムというと砂糖が気になるところだが、ちゃんと無糖の風船ガムは商品化されているし、歯科医院に行けばオーラルフレイル予防のトレーニング用のガムもある。
大人でも、口を開けたまま「クチャクチャ」と音を立てて食べる人をたまに見かけるが、大人になってああなると「気の毒」では済まなくなってくる。
子どものうち、治せるうちに修正を施し、口元のキレイな大人に育ってもらいましょう。
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記事内のデータは下記によります。
・徳永順一郎:レッツチューイング 噛む根気と口唇圧アップを目指して, 大阪小児歯科専門医臨床研究会(OSP)会誌, No.15, 2008.
岡崎好秀:口腔機能育成外論 ”口遊びの復権”,小児歯科臨床,Vol.26 No.7,2021.