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安倍晋三が初めて明かした「高市早苗の課題」と「危機のリーダーの条件」

 自民党の最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)の領袖に就任した安倍晋三元首相が「文藝春秋」の独占インタビューに答え、次世代を担う「危機のリーダーの条件」について、初めてメディアに語った。

 さらに、安倍氏が強力に推す高市早苗政調会長についても言及。「真面目で勉強熱心なうえ、胆力もある」と評価する一方、高市氏が乗り越えるべき課題も指摘した。

“無駄かもしれない時間”の効用

 安倍氏が7年8カ月の歴代最長政権を運営できたのは、「圧倒的なチーム力」(安倍氏)の賜物だったという。

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「政治家出身者も官僚出身者も、第1次政権でともに辛酸をなめた多くのスタッフが私を支えてくれたのです。苦しい経験を糧にして、一緒に闘うことが出来ました」(安倍氏)

 どのようにして圧倒的なチーム力が生まれたのか?

「チームをつくるうえで何が必要なのか。私自身、特別に『これをやった』という思いはありません。ただ、仕事以外の“無駄かもしれない時間”を仲間と一緒に過ごすことを大切にしています。

 最近の頭のいい議員にありがちなのは、人づきあいを損得勘定で捉えてしまうこと。『この人とダラダラ喋っていても無駄だな』と思ったら、話もそこそこに帰ってしまう。あるいは、人間関係が熟さないうちにデリケートな交渉事をいきなり詰めにかかろうとして、相手をしらけさせてしまう。多くの人が自分のために集まってくれた会合で、主役なのに寝てしまった議員もいます。いくら優秀な議員で能力があったとしても、そんな姿勢でいては、人心は離れていくばかり。その場にいる人たちと、いかに仕事と離れた時間を共に過ごすか――それは決して無駄な時間ではありません。

安倍晋三元首相 ©文藝春秋

 他人の話を聞くことは、聞き手にとっては時に無駄な時間に思えてしまうかもしれない。でも、その行為を厭わず、日頃から地道な積み重ねを続けていけば、いざという時に『君のためなら、この身を投げうってでも働こう』と思ってくれる人たちが出てくるものです。

 もう一つ。一度信頼し仕事を任せたら、結果が出なくても批評・批判はしないよう心掛けました。特に総理時代はその姿勢を貫きました」

「伸びる若手」は「胆力」がある

 では、どんな若手がリーダーにふさわしいのか? 安倍氏が注目するポイントは、ズバリ「胆力」だという。

「私の目から見ても、党内の人材はどんどん育ってきています。政治家は官邸に入って仕事をすることで、相当に鍛えられます。官房副長官や総理補佐官などに就くと、さまざまな国際交渉の現場に立ち会うことがあります。首脳会談のやり取りを間近で見る経験は、その後の政治家人生において必ず大きな糧となります。