1月7日、「金曜ロードショー」でジブリ映画『千と千尋の神隠し』(2001年)ノーカット版が放送される。主題歌「いつも何度でも」を歌ったのは、歌手の木村弓さんだ。『FNS歌謡祭』での上白石萌音さんとの共演や、フランスのフォーク・シンガーによる「いつも何度でも」の日本語カバーがツイッターで大きな話題を呼ぶなど、映画公開から20年が経った今でもこの歌の“魔力”ともいえる求心力は衰えることがない。木村さんが竪琴・ライアーを手に歌い上げるスタイルで聴き手を魅了し、独自の立ち位置を確立するまでの軌跡を伺った。(全3回の3回目/#1#2から続く)

歌手の木村弓さん

◆ ◆ ◆

上白石萌音さんは「歌っていると涙が出そうになります」

――昨年12月8日に放送された『FNS歌謡祭』第2夜では、2月上演の「舞台 千と千尋の神隠し」で千尋を演じる上白石萌音さんと木村さんがコラボレーションした「いつも何度でも」が放送され、反響を呼びました。上白石さんは歌手としても活動し、NHK紅白歌合戦にも出場していますが、木村さんはかねてから注目していたりは?

ADVERTISEMENT

木村 お恥ずかしいのですけれど、全然存じ上げていなかったんです。ここ数年は、テレビなどをまったく見ていなかったんですよ。上白石さんとご一緒させていただくお話をいただいてから、朝ドラやネットニュースなどを拝見して、すごい方なんだなと知りました。

『千と千尋の神隠し』より

 女優さんとしても自然でリアリティーのある演技をされますけど、歌においても内面と表現のギャップがないというか、本当に正直な歌い方をされているんですよね。ひとつの発声パターンにはまって歌ってしまうようなことが、上白石さんにはなくて。

FNS歌謡祭【公式】より

――美麗なデュエットでしたが、リハーサルは何度も重ねたのでしょうか。

木村 いえいえ、まったく。当日のお昼前に2、3回ほど合わせただけです。私が自分のパートを歌った音源を上白石さんにお送りして、それで練習してもらいました。そんなにゆっくりとお話しできなかったのが残念でしたけれども、「歌っていると涙が出そうになります」という風に仰ってくださって、素敵な方でした。

「いつも何度でも」の日本語カバーまで

――最近では、フランスのシンガーソングライターの女性による「いつも何度でも」の日本語カバーもツイッターで話題になりました。

木村 ああ、Pomme(ポム)さん。

Pomme(ポム) - いつも何度でも (『千と千尋の神隠し』より)

――ご存知でしたか。もともとフランスのテレビ局が投稿した日本語で歌っている動画が、ツイッターで拡散されたようです。昨年12月24日からはPommeさんのカバーバージョンがiTunes StoreやSpotifyなどで配信されています。

木村 詩人で作詞家の覚和歌子(かく・わかこ)さんが「この人、可愛い歌い手さんよ」ってカバー動画を教えてくれたんです。来日したこともあって、日本語も勉強されているそうで。日本語で一生懸命に歌っていらっしゃるのが何ともチャーミングですよね。この曲を大切に思って歌ってくださっていることが伝わってきて、本当にありがたく、嬉しいなと思いました。