政治的トラブルとは無縁な存在に思われるBTSも2017年のライブでは、ナチスの旗を連想させるデザインの旗を掲げる演出をしたとされて問題になり、メンバーが過去にナチス親衛隊のロゴを入れた帽子を身に着けメディアに露出していたことと合わせて、ユダヤ人人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」から抗議を受け、謝罪している。
韓国の両隣、日本と中国については、輸出規模が大きいだけでなく、その歴史的経緯から政治的にもとりわけ敏感になる。
2018年には、BTSは日韓双方で政治的なトラブルを経験することになった。順に見ていこう。
秋元康氏は右翼?
2018年9月、BTSの所属事務所HYBE社(当時はBig Hitエンタテインメント、以下同)のパン・シヒョク氏は、秋元康氏とタッグを組み、日本オリジナル楽曲として秋元康作詞の「Bird」をBTSの日本版シングルに収録することを発表した。
秋元康氏といえば、日本では80年代の「おニャン子クラブ」から始まって、近年では「AKB48」や「乃木坂46」など「会いに行けるアイドル」というコンセプトの仕掛け人であり、これらのアイドルの楽曲に歌詞を提供して彼女たちのCDを大量に売りさばく、巨大な力を持つプロデューサー、そんなイメージだろうか。今の日本の大衆文化の“現実”を作り上げたことは間違いない。
しかしこの発表の3日後にはコラボは白紙となり、2カ月後の11月7日にリリース予定だったシングルでは別の人物の作詞に差し替えられるという騒ぎがあった。
安倍晋三首相(当時)との深いつながり
コラボ計画が発表されるやいなや、BTSのファンをはじめとして、他の韓流ファンからも猛反対する声が上がった。
韓国のファンの反対の理由には、安倍晋三首相(当時)との深いつながりを理由に挙げている人が多く見られた。
安倍首相は2013年のクールジャパン推進会議で秋元氏と知り合って以来、関係を深め、15年には、安倍首相と秋元氏とのツーショット写真が写真週刊誌に掲載されたことでその関係は公然のものとなっていた。17年7月には、前月に沖縄で開かれたAKB総選挙で国費が費やされたことが日本では問題化している。