新型コロナウイルスの流行とともに、世間では、とりわけSNS上では、真偽不明の情報が飛び交った。とりわけ、アメリカや日本では、SNS上で、「新型コロナは実在しない」「ワクチン接種は健康を害す」などと主張し、全ては、富豪などの権力者が仕組んだことなのだとする陰謀論が跋扈した。
そういった陰謀論に一時期はまり、反コロナ関連の活動なども行っていたが、陰謀論から抜け出すことができたというAさん。サラリーマンである夫との未就学児がいる専業主婦の彼女に話を聞いた。
陰謀論への第1の入り口は「図書館」だった
――陰謀論を信じるようになったきっかけを教えてください。
「一番最初のきっかけは、出産です。生まれた赤ちゃんのことを考えて、きちんと子育てをしたいと思いました。それで、友人の影響もあって『自然派』に興味を持ち、健康オタクのような状態になりました」
――「自然派」は、反ワクチンやニセ医学、陰謀論などと親和性が高いといわれていますね。
「反ワクチンで有名な内海聡さんの本を、その頃から読むようになりました。わたしがこういった本に出会ったのは偶然だったと思います。そういった本には、図書館で出会ったんです。あの頃、本はよく図書館で読んでいたので」
――図書館ですか。大きな書店でも、例えば、『家庭の医学』の棚は、反ワクチン本や真偽が疑わしい健康本があふれていて、まともな医学の本は非常に少ない場合もありますが。
「図書館でも、そういったニセ医学の本は『健康』の棚に置かれていました。本当にまぜこぜなんです。後に反ワクチン・反コロナ活動をするようになってから知ったのですが、そういった本を図書館にリクエストする活動をしている人もいるみたいですね。
読んだ本に書かれていた『牛乳は健康に悪い』という医者の主張に衝撃を受け、夫に話をしたら、夫が調べてくれて『このお医者さん、牛乳協会にも訴えられているし、信用しない方がいいよ』と。
そういった経緯があったので、5年くらい、盲信とまではいかず、ヨガに通ったり、アロマやオーガニック食品を取り入れる『自然派』の生活をゆるく続けていました」