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「こちらの世界」への所属感を作ってあげること

――陰謀論にハマった人のいるご家族に、何か伝えたいことはありますか?

「陰謀論ではなく、他の趣味に興味を向けられるように誘って、できるだけ陰謀論に触れる時間を少なくしてあげることが重要だと思います。『こちらの世界』への所属感を、きちんと作ってあげること。

 ハマっているときは聞く耳を持たないと思うので、こちらの絆を強めて、陰謀論の時間を少なくする。熱量が冷めてきたときに、ファクト的な物を小出しにすると、戻ってきやすいと思います。

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 Twitterでも、家族が陰謀論にハマって戻ってきた方の発信を見ていると、家族が寄り添って、陰謀論に触れる時間を減らしてあげている例がありました」

――また、医療情報発信者が、どんな発信をすれば、陰謀論による被害を受ける人を減らせるでしょうか? 

「陰謀論を信じるような人は感情で物事を決める傾向があると思うので、好感度は大事だと思います。芸能人が庶民感を出すような感じで、身近に感じられるといいのかもしれない。陰謀論者は、有名人は全て敵だと思っているケースもありましね。

 ただ、当時の私もそうですが、何でも自分で調べられる時代だと思い込んでいる人も多いので、そもそも医師に何か聞こうという気持ちになるまでのハードルは高いかもしれませんね」

――上から正論を言うのではなく、身近に感じられる発信をして欲しいということでしょうか。陰謀論を現在信じている人に声をかけるとしたら、どんなメッセージを送りますか?

「Twitterで陰謀論を信じている人たちに『反対意見にも耳を傾けよう」などと言ってみたこともありますが、正直、限界を感じて……わたしに今できることは、こうして取材を受けて、社会問題として、知らない人に知ってもらったり、ハマる前の人に見てもらってハマるのを予防してもらうことかな、と。

 あとは、身近に陰謀論を信じている人がいる人には、本人も後悔や罪悪感で傷ついていると思うので、戻ってきたときには、できれば優しくしてあげてください、とメッセージを送りたいです」