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最初の入り口は「図書館でした」…陰謀論を信じた主婦が振り返る、ハマってしまった「3つのきっかけ」

2022/01/13
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第2のきっかけは「つみたてNISA」

――そのときは、それほど深くはハマらなかったと。なぜそこから再度、陰謀論に傾いてしまったのでしょう。

「2019年頃ですが、つみたてNISAや株について調べようと思い、経済系のYouTubeを見るようになりました。まず、YouTubeのサジェスト機能で日本の財政破綻論にいきつき、『そんな大変なことがあるのか』と思っていたら、今度はそれを否定する論者の方々のコンテンツがサジェストされるようになりました。

 最初は何を言っているのかわからなかったのですが、ずっと聴いていたら、本当にそんな気がしてきて、MMT(注)を信じるようになり、『ひょっとしたら、一般的に信じられていることは本当じゃあないことってあるんだろうな』という考えに徐々になってきました。

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 その後、だんだんYouTubeにのめりこんでいって、『チャンネル桜』や『虎ノ門ニュース』といった、保守系のチャンネルも見るようになりました」

注……現代貨幣理論のこと。主な主張に「自国通貨を発行している国は、過度のインフレにならない限り、大量の国債をしても財政破綻しない」等がある。

※写真はイメージ ©iStock.com

第3のきっかけは「友人との会話」

――つみたてNISAは、誰もが興味を持つ一般的なものですが、それが思わぬ入り口となり、陰謀論を信じる素地ができたということでしょうか。2019年の年末に新型コロナウイルス感染症が中国で発生して、その後、日本でも流行するようになるわけですが、当初はどう受け止めていらっしゃいましたか。

「最初は、子どもと一緒に過ごしながら、新型コロナが怖いと思っていました。ただ、自然派の友達と保守系の話題について話していたら、『ビル・ゲイツが、自らの利益のために人々に新型コロナワクチンを打たせようとしている』と主張する動画を教えられたのです。

 見たとき、最初は、『えっ、そんなことあるの?』と、思っていたのですが、ふとMMT関連の掲示板に必ず貼られていた『スライヴ』という映画を思い出しました。全て支配層に牛耳られている、あなたたちは奴隷なんだという趣旨の映画です。そこで、『支配層の存在』を想定すると、全てがつながると思ってしまったのです。

 当時はなぜMMT派の人たちが正しいことを主張しているのに、一般的な政治家が採用しないのかと疑問でしたが、日本を衰退させたい支配層が、破滅に導くようなやり方をしているのだな、と腑に落ちた感覚になってしまった」