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最初の入り口は「図書館でした」…陰謀論を信じた主婦が振り返る、ハマってしまった「3つのきっかけ」

2022/01/13
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夫婦仲は冷え切った状態に

――ひどい喧嘩をしたとおっしゃいましたが、その後の夫や家族に対する気持ちはどうでしたか?

「夫は、わたしが反コロナの仲間を作っていることには気がついていて、それについてもう一回喧嘩をしたのですが、それっきり何も言ってきませんでした。ただ、お互い普通に接してはいるのですが、関係は冷えている状態でした。

 わかってくれる人と結婚すればよかったとか、夫が考えることについて、色々と妄想してしまいましたし、あるとき夫から『子どもの存在以外、一緒にいるモチベーションがない』と言われ、離婚しなければならないのではないかというところまで思い詰めました。また、再び新型コロナなどの話題が出たら夫をうまく説得しなきゃと考え、陰謀論の動画を見ながら家事をしたりしていたので、子どもにかまう時間も減っていたかもしれません。

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『ノーマスクピクニック』に出かけた際に、夫に『自然派さんとピクニックに行った』と話したこともありますが、夫は『行くな』と言うこともありませんでした。何を言ってもこちらの考えは変わらない、と思っていたのかもしれません」

「オープンチャット」が抜け出すきっかけに

――それほど深くハマっていた陰謀論から最終的には醒めて抜け出されたとのことですが、何かきっかけはありましたか?

「陰謀論にハマってから1年くらい、反コロナの人としか交流しない日々を過ごしていたんですが、中には人工地震やケムトレイル(飛行機から支配層が有害物質をまいている、という陰謀論)、フラットアース(地球は平面であるという陰謀論)、アドレノクロム(子どもを地下に監禁して子どもの涙から若返りの物質を作っているという陰謀論)など、ありとあらゆるトンデモ系の陰謀論を信じる人もいるんですね。それらについて調べると、YouTubeなどに反証集もあり、さすがにここまでとんでもないものは真実ではないだろう、と気づくようになりました。

 その後、反陰謀論グループのオープンチャットにも加わりました。誰かが陰謀論について投稿すると、有志がそれを反証する情報を投稿する、という内容のオープンチャットです。夫を論破したいという気持ちは続いていたので、反陰謀論、つまり『敵』を知ることで、論破できるだけの根拠を持たなければと考えていたんです。

 ただ、チャットで陰謀論者と反陰謀論者が意見を戦わせているのを見ると、やはり陰謀論側がおかしいのかなと思うことが増えていきました。また、反陰謀論側の反証を読んで、難しい話だと感じ、専門家でも意見が割れることを素人が判断できるのか、という気持ちにもなっていきました。

 その頃、反コロナ・反ワクチンの主張で有名な医師などが遠隔操作で波動のヒーリングができると言ったり、ワクチンを打った人は波動でわかると言い出すのを目にしたこともあり、ようやく醒めた、という感じです」