ロシアが天然ガスを止めちゃって…
そうこうしているうちに、ロシアが被害妄想かなにかもあって突然ウクライナ近くまで軍隊を寄せてきてしまいました。ウクライナがNATOに加盟申請するしないでのすったもんだと合わせて、ロシアの軍事的圧力に対する制裁としてアメリカや欧州はロシアにいままでにない規模の経済制裁をするぞと言い始めました。
その際に、ロシアが欧州向けのLNGパイプラインである「ノルドストリーム2」を止めてしまったために、そのロシアからの天然ガスに依存していたドイツ以下欧州各国がこのクソ寒い冬をどう越すんだと騒ぎになるわけです。おまえら、数カ月前は脱炭素だ再生エネルギーだって随分いろんなことを言ってた割に、ロシアに天然ガス止められたら秒殺されるのさすがにダサくないか。
エネルギー供給に苦しむドイツでは、大ちゃぶ台返しが発生
エネルギー供給に大きな、喫緊のリスクが出たことで、ドイツほか欧州では「何のエネルギーソースがクリーンなのか」とかいう本末転倒な議論が始まります。果ては、欧州委員会が社会や経済の脱炭素化に寄与するエネルギー源として、天然ガスと原子力を公式に認定する方針を発表するとかいう大ちゃぶ台返しが発生することになります。
これはもう、ダサいという以前にイカレた話であって、いままで積み上げてきた脱炭素、脱化石燃料、脱原発といった各種議論は何だったんだよということですね。
EU Taxonomy: Commission begins expert consultations on Complementary Delegated Act covering certain nuclear and gas activities
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/IP_22_2
さすがにドイツ国内からは反発が出て、緑の党が「原子力発電はグリーンではない」と言い換えたりもしておりましたが、そのドイツも国内の電力需要を確保するために、よりによって原子力発電によるエネルギーシェアがべらぼうに高いフランスからの電力融通を打診したうえ、ドイツ国内では一時電力費が6割増とかいうデフレなんて言ってる場合じゃない具合で値上がりしております。
過去から現在に至るまで、ドイツのエネルギー政策を見習えと言っていた知識人は、一連の欧州の手のひら返しをどう考えているのか聞いてみたいものです。