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――初めてのラーメン二郎はいかがでしたか。

 当時の松戸駅前店は初代の店主さんが切り盛りしていたんですけど、その人がめっちゃ怖くて。ネットで「蝶野」と呼ばれるくらいプロレスラーの蝶野(正洋)さんに似ていて、強面だったんですよ。

 だからか、お店の雰囲気もピリッとしていて……黙って食べている人ばかりでした。「喋ったら怒られるかも」という恐怖感の中、友達と「絶対に残すなよ」って囁き合いながら食べたのを覚えています。思い出深い二郎デビューでした。

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©杉山秀樹/文藝春秋

――その時は松戸駅前店しか行かなかったんですか?

 いや、次の日に新宿から夜行バスで帰る予定だったので、バスに乗る前にラーメン二郎新宿歌舞伎町店にも行ってみたんです。そこで初めて「ニンニク増し」を頼んだら、とんでもないニンニクの量で。帰りの夜行バスで、自分がめちゃくちゃニンニク臭かった記憶があります。

――周りの乗客も臭いと思っていたでしょうね(笑)。

 かなり迷惑をかけたと思います(笑)。バスの中で「ラーメン二郎っておいしいな」と思いながら仙台に帰りました。そしたらその後、ラーメン二郎の味を忘れられなくなったんですよね。夢にまでラーメン二郎が出てくるようになって。

 それからは東京に遊びに行くと、必ず二郎に行くようになりました。友達といろんなお店を回りながら、二郎への想いを強くしていきましたね。

――そこからラーメン二郎にハマり始めたと。

 そうです。しかも20歳の時、テレビカメラマンとして番組制作会社に就職して上京したんですけど、家から自転車で10分くらいの場所にラーメン二郎の新店舗がオープンしたんですよ。

――すごい偶然。

 それがラーメン二郎千住大橋駅前店なんですけど。自分の上京とまったく同じタイミングでお店ができたので「そんなことある!?」と思って(笑)。社会人になってからは仕事終わりに自転車を漕いで、よく千住大橋駅前店に食べに行ってましたね。そこで完全にハマった感じです。

千住大橋駅前店

「ジロリアン」を“無許可使用”してボクサーデビュー

――プロボクサーを目指し始めたきっかけは、なんだったのでしょうか。

 最初は草野球チームに入ろうとしていたんですよね。小中高と野球をやっていたんですけど、大人になってから「また熱くなりたいな」と思ったので。でもカメラマンの仕事が土日休みじゃないから、草野球にはなかなか参加できない。それで、昔から興味があった格闘技に切り替えました。