それに、シングルマザーを経験した後、自らプロポーズした自立心溢れるミランダや、ビッグとの間に子どもを持たなかったキャリー、セックス第一主義のサマンサ、お姫様願望のある保守的なシャーロットというキャラクターは、「多様性に配慮した」というより、少なくとも、彼女たちが「そうしたかったからした」と思えるリアリティがありました。
「誰にも批判なんかさせない。私は好きな服を着るし、息ができてひざまずける限り、好きな男にフ◯ラするんだから!」
一方で、こんな名言を放ったサマンサ役のキム・キャトラルは今回、出演を辞退。笑いと共にジェンダーロールや世間の常識を破壊してくれていた彼女がいないことも、『AND JUST LIKE THAT...』が頭でっかちに見える一因かもしれません。
さらに、スタンフォード役のウィリー・ガーソンが昨年、がんで逝去。ビッグ演じるクリス・ノースは複数の女性から性的暴行を訴えられており、サラ・ジェシカ・パーカーらキャスト3名が、告発した女性たちを支持する声明を発表するなど、波乱の船出になっています。
しかし、2話目以降は旧ドラマ版の軽妙なノリが復活。「恋愛」が投下されると一気に“らしく”なり、今後の展開が期待されます。
州知事選、養子を迎えシングルマザーに…キャストの「今」
ところどころ違和感のあった『AND JUST LIKE THAT...』ですが、同作をきっかけに学生時代の友人と久しぶりにコンタクトをとりました。学園のマドンナとして名を馳せた彼女は専業主婦になり、休日は子どもの少年野球で真っ黒になっているそう。彼女も新作は「イマイチ」と感じたようですが、「でもキャリーたちに会いたいから結局見ちゃうんだよね」と言っていました。
シスターフッドを描いた「SATC」が女友だちとの仲を取り持ってくれるのが嬉しいし、異なる道を選んで離れる時期があっても、またいつか再会できると思えば、『AND JUST LIKE THAT...』の感想も10年後には変わっている気がします。
ちなみに、チェ・ディアスを演じるサラ・ラミレス自身もノンバイナリーを公表している俳優ですが、ミランダ役のシンシア・ニクソンも12年に同性パートナーと結婚。その前に男性パートナーとの間にもうけた息子の一人がトランスジェンダーであることも公表しています。
また、2018年にはニューヨーク州知事選にもチャレンジするなど、俳優業にとどまらない活躍を見せていて、目が離せない存在であります。
保守的なシャーロットを演じるクリスティン・デイヴィスは華やかな交際歴がありつつも結婚にまるで興味がないらしく、シングルマザーとしてアフリカ系アメリカ人の養子を育てているというから、役とは真逆のライフスタイルを歩んでいるよう。
「SATC」メンバーは現実もドラマティックであります。