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「ランチ代込みで2万円」「駅のホームで立ち飲み」おこづかい巧者は、なぜみんな楽しそうなのか

『こづかい万歳』作者・吉本浩二さんインタビュー #2

2022/01/23
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――たしかに40歳を過ぎてしまうと、見栄を張るためにお金を使うマインドは薄れますね。そこがあるから、先生も2万千円でやっていける?

吉本 そうなんですよね。独身時代も長かったし、さんざん使ってきたというか。まぁ、いままでも贅沢はしていないんですけど。自分のために使うのは、どこかもう満足したんだと思いますね。こんなかっこいいことは漫画ではぜんぜん言ってないですけど、それよりもお金は家族に使われるほうが、より充実感があるというか。とか言いながら、限られたおこづかいでどうにかして自分のものを買おうと必死になってますけど(笑)。

 

――先生もふくめ、みなさんおこづかい制を楽しんでいますよね。“貧すれば鈍する”でなく、“貧すれば鋭く”というか“貧すれば研ぎ澄まされる”とでもいいましょうか。

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吉本 それが、この漫画のテーマのような感じがしますね。なんか、みんな楽しそうな人ばかりなので。

おこづかい制でうまくやれるのは夫婦仲のよい人が多い

――おこづかい制でうまくやっている夫婦や家庭の共通点みたいなものって、先生はお気づきになっていますか。

吉本 結局、夫婦仲、家族仲のいい人が多いんじゃないですかね。これを言ってしまうと、やりくりとか関係なくなっちゃうかもしれないですけど。漫画に登場した、こづかい制の人たちって、なぜか家庭的な人が多い気がするというか。そこをどう分析すればいいのか、ちょっとわからないんですが。

――漫画はヒットして、単行本も順調に版を重ねています。大きなお世話ですが、おこづかいのアップが検討されてもいいのではないかと思っているのですが。

吉本 なかなか難しいんじゃないですかね。僕も「アップしてよ」と言うには言ってるんですが……。でも、「会社員じゃないから」ということで、2万千円のままですね。どうしても収入に波のある商売だし、子供たちもまだまだ小さいし、今後のことを考えたら2万千円でやってくしかないかなって。

写真=釜谷洋史/文藝春秋

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