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「娘が体を使って稼いでくることに何の抵抗もなかったと思います」スナック、キャバクラ、風俗、AV女優…性産業で生きてきた女性が“引退”を決意した“納得の理由”

『コロナと風俗嬢』より #1

2022/01/28
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 ソープランドを辞めた後、デリヘルなどを経てAVに出演した。

「アダルトビデオの仕事はすごい興味がありました。根っからのMなので、緊縛とかやられてみたかったんです。4年間で250本くらいに出演しましたけど、嫌な経験はなかったですね。むしろ楽しかったです。山奥の廃墟や新宿の路上で撮影したこともありました」

「ギャラはどれくらいだったんですか」

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「最初は事務所に入っていたんで1本10万円ほどだったんですけど、1年でフリーになって、それからは1本60万円ぐらい。すごい稼がせてもらいました」

「お母さんは、風俗やAVのことは知ってたんですか」

「知ってましたね。私のツイッターを見ていたようだから。そのころ代々木に借りた一軒家に母親も呼んで一緒に住んでいて、いろいろと面倒も見ていましたし、娘が体を使って稼いでくることには何の抵抗もなかったと思いますよ。どんどんやれと思っていたんじゃないですか」

子どもと生きていく決心をして介護職に転身

 10代から水商売、風俗、AV出演と性に関わる業界で生きてきた彼女だったが、34歳のとき、そこから離れるきっかけが訪れた。

「元カレと体だけの関係がずっと続いていたんですが、妊娠したんです。それでAVを引退しました。相手には妊娠したことは告げず、ひとりで産んで育てることにしたんです」

 子どもとふたりで生きていくことを決心した侑子はいま、介護の仕事をしながら保育園に通う5歳の娘と暮らしている。シングルマザーとして生きることに不安はないのだろうか。

「旦那がいないほうが気が楽ですよ。娘のことだけ考えていればいいですからね」

 保育園での人間関係では、もちろん過去のことは隠している。

写真はイメージです ©iStock.com

「保育園や幼稚園って、嫌なママがいるイメージだったんですけど、娘の保育園では他人の生活を気にするような人はいないですね。みんな、自分のことで精一杯な感じです」

 介護の職場でも、過去を詮索されたりすることはないという。

「うちの職場は刑務所帰りの人もいたりするそうなんで、誰も過去のことを聞いたりはしません。介護しているお爺さんをお風呂に入れているとき、『あんたAV女優みたいだね』と言われて、一度だけドキッとしたことがあったぐらいです」