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韓国で台頭する「キムヨナ・キッズ」

 そして、共にブライアン・オーサーコーチに指導を受けたキム・ヨナ元選手の競技を、羽生選手がかつて熱心に鑑賞していたというエピソードも伝えられている。キム・ヨナ元選手は浅田真央元選手のライバルであり、言わずと知れたフィギュア界の女王だ。羽生選手と同じく、その流れるような芸術的な競技運びは世界の人々を引きつけた。

 2014年ソチ冬季オリンピックを最後に引退。2018年の平昌オリンピックでは広報大使を務め、聖火の最終点火者としても登場した。現在はアイスショーなどに参加しながら、韓国では多くのテレビCMや広告に登場しており、連日、顔を見ない日はないほどだ。

 競技では、4回転アクセルの成功の行方や米ネイサン・チェン選手とのライバル戦にも関心が集まる。

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 平昌オリンピックの際、男子フィギュアスケートでは宇野昌磨選手が銀メダルを獲得し、日本勢が2つのメダルを持ち帰った。この時韓国では、キム・ヨナに続く選手がいないと嘆かれたが、今季はキム・ヨナに憧れてフィギュアスケートを始めた「ヨナ・キッズ」のひとり、ユ・ヨン選手が出場を決めており、注目を浴びている。ユ選手は平昌オリンピック大会の際に選抜で1位となったが、年齢制限のため出場が叶わなかった選手だ。韓国紙運動部記者の話。

キム・ヨナ ©AFLO

「ユ・ヨンは6歳の頃からフィギュアスケートを始めて、キム・ヨナの競技を見てからオリンピックを夢見るようになったそうです。9歳でフィギュアのために韓国に帰国するまでシンガポールで育ち、英語が流暢です。

 コロナで大会が流れるなど大変な時期もありましたが、一昨年(2020年)の四大大陸選手権女子シングルで2位、昨年のシニアグランプリでも3位となり、一気に注目が集まりました。今大会で期待がかかる選手のひとりです。キム・ヨナの強みがしなやかさならばユ選手はそれに力強さが加わります。北京オリンピックではやはりロシア勢が優勢ですが、まだ17歳、少しでもいい成績を残して次につなげてほしいですね」

 また、1月末に行われた国際スケート連盟(ISU)4大陸選手権で韓国の男性フィギュアスケートシングル史上初の優勝を飾ったチャ・ジュンファン選手にも、にわかに関心が高まっている。チャ選手は平昌オリンピックでは15位だった。幼い頃にドラマや広告に出演した子役俳優として知られ、フィギュアスケートは演技のために始めたという。コーチは羽生選手と同じ、ブライアン・オーサーコーチに指導を受けている。

 今回の大会では、オーサーコーチはチャ選手のコーチとして参加している。これは羽生選手自身の決断と伝えられたが、そこにはどんな思いがあるのだろうか。 

 そして、なんといっても韓国で人気の選手といえばスピードスケートの小平奈緒選手だ。