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「3時間睡眠でも世帯年収が半分に」

 夫の入院を機に、田中さんの生活は一変した。月に7回程度入っていた夜勤をなくし、日勤のみのシフトになった。5時すぎに起床し、朝の用意から送迎まですべてをワンオペで行ったあと、17時半まで仕事に追われる。日常的な家事ができるのは、子どもを寝かしつけたあとの22時頃からだ。

「美羽にご飯を食べさせるのにも1時間ぐらいかかりますし、身体の反り返りを抑えながら入浴させるのはもっと大変。全部終わらせて寝る頃には2時や3時という生活が続いていて、もう身体を動かしたくないなと思うこともあります……」

 影響は生活リズムだけでなく、家計にも如実に表れている。

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「夜勤に入れなくなったことが一番大きいですね。生活があまりにキツくて時短申請も考えたんですが、そうすると月収が手取りで18万円ほど減ることがわかり、断念しました。夫は仕事に復帰予定ですが、営業職から内勤になるため手当てがなくなります。世帯年収で言えば、下手をすると半分程度になってしまうかもしれないです。補償のことは忘れたいと思っていましたが、こういう状況になると、やはり補償金があれば……という気持ちは拭えません」

©文藝春秋 撮影/山元茂樹

 

 田中さんは美羽ちゃんを妊娠していた際、血圧が上がっていることを指摘され、紹介された病院を受診しようとした前日の夜中に突然破水した。そのため紹介元と紹介先の病院との間でたらい回しのような状態になり、分娩へと移行できたのは朝方のことだった。

「お医者さんからは脳性麻痺の原因は早産だとずっと言われていて、1度目の申請にも協力的じゃなかったので、再申請は断念してしまったんです。審査基準が合理的でないだなんて考えてもみませんでした。

 出産前は脳性麻痺になるなんて想像していなくて、脳性麻痺児の育児がどんな生活になるのかもよくわかっていませんでした。今でもふとした時に『私って障害児の親なんや……』と思うときがあって……。まだ受け止めきれていない部分があるんだと思います」