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 本能とか衝動でやりたいこととか動いちゃうことってあるじゃないですか。笑いもそうですけど、技術論みたいなことを言われると萎えるんですよ。正解なんかあるわけないのに、さも正解かのように言ってくる。そういうのがすごい嫌で。

お笑いは「イケてる奴が勝ちますよ」

――永野さんには、現在のお笑いってどう映っているんですか?

永野 もっとわがままでもいいんじゃないかなとは思います。純粋ぶってんじゃねぇよとか思われるかもしれないけど。僕は文句ばっかり言ってるし、周りに合わせないから、なおのことそう思う。自分が面白いと思うことをやるのがいいと思うんですけど、今はスポーツになっているところがあるから、勝つことを意識しちゃいますよね。ただ……お笑いって、汚ったねえ冴えない奴がやるもんだと思っていたんです。でも、最近気が付いたんですけど、そうじゃなくてイケてる奴が勝ちますよ。後輩とか見てても、体がしっかりしていて、「こんにちは!」とか挨拶もきちんとできる奴の方がいいんだなって。

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――だと思います(笑)。

永野 俺みたいな常時、親の敵を討つみたいな目をしてるような奴はダメなんだなって。みんな、表情がキレイなんですよね。だから最近は、「人気者になりたい」とか「モテたい」っていう動機も、それはそれで本音だろうからいいんだなって。僕みたいな考え方は、呪いにしかならないからおすすめできない(笑)。

――まだ解けないですか?

永野 もういい歳だからさすがに解けるかと思ったら、解けないですね。なんでだろう。穏やかな顔にならないんですよ。いまだに人と違うことを意識してしまう。

 

マヂカルラブリーなど「地下芸人」への期待

――一方で、昨今は地下ライブで実力を磨いていた芸人が注目を浴びつつあります。インディーズシーンで蠢動し、孤高のカルト芸人と呼ばれた永野さんから見て、正統派とは違う芸人が求められているといった雰囲気は感じますか?

永野 それはあるなって感じますね。うちの事務所のランジャタイもそう。 あと、ずっと一緒にライブをやってきて、ずっと面白いと思っていたモグライダーが去年のM-1決勝に進出したのは、すごいうれしかったですね。こいつらが売れないっていうことは、俺には見るセンスがないんだなって思っていたくらい面白いコンビだったから。