3歳の長女を自宅アパートに9日間置き去りにして衰弱死させたとして保護責任者遺棄致死などの罪に問われている母親の梯沙希(かけはし・さき)被告(26)。2022年1月27日に開かれた裁判員裁判の初公判で、梯被告は起訴内容を認めた。
梯被告は2020年6月5日~13日、旅行で鹿児島に9日間滞在した間、当時3歳の娘・稀華(のあ)ちゃんを東京・大田区の自宅アパートに鍵をかけて放置し、脱水と飢餓で死なせた罪などに問われている。
1月28日の第2回公判では稀華ちゃんの父親で梯被告の元夫であるAさんの証人尋問のほか、弁護側の被告人質問が行われ、梯被告から見た事件までの日々が語られた。そこから浮き彫りになったのは、被告の“断れない”性格や、流されやすさだった。この日は、梯被告の母親の調書も読み上げられ、被告のパーソナリティに大いに影響を与えたと思しき、壮絶な虐待の被害も明らかになった。(全2回の1回目。2回目を読む)
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梯被告は小学生の頃、虐待を受けていた。第2回公判では本来、梯被告の実母が証人出廷する予定が組まれていたようだ。ところが昼休み前の休廷明け、弁護人がこう告げた。
「被告人の母親は出頭できないとのことです」
代わりに、梯被告の逮捕後に作成されたという実母の供述調書や、尋問に備え準備されていた報告書などが読み上げられた。それは、確かに公開の法廷で自ら語ることははばかられるであろう、耳を疑うような虐待の告白だった。
「沙希は私が高校のころにできた子。1人で産んでどうしようと不安や孤独を覚えた。17歳で出産したが、経済的にも力がなく、宮崎の施設に入れた。平成14(2002)年、沙希が小学校に入学するとき、当時の夫とともに沙希を引き取った。