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「私をお嫁さんにと思ってたのは本当なんですよ」漫画家・水野英子が語る、赤塚不二夫や石森章太郎と過ごしたトキワ荘での7ヶ月

『少女漫画家「家」の履歴書』より#2

source : 文春新書

genre : エンタメ, ライフスタイル, 読書, 歴史

note

自身と漫画界のために残しておきたい、トキワ荘や少女漫画の記録

 78年、息子も学校へ上がるようになって、今の3LDKの家へ引っ越しました。当時はまだ多摩丘陵の自然が残ってて気に入ったんです。やっと子育てが落ち着いた頃、世はラブコメとレディースコミック全盛で私の居場所はありませんでした。86年から『ルートヴィヒⅡ世』に挑みましたが6年後に掲載誌の休刊で未完のままです。あと800ページは描かないと終わりません。

 現在取り組んでいる、トキワ荘や少女漫画の記録を描いたり、お話ししたりするのは自身と漫画界のために残しておきたいから。ただ商業出版が叶わず、自費出版で出しています。それと以前、上田トシコさんやちばてつやさんという少女漫画に関わった12人の代表的作家さんたちと当時の漫画界の様子を話し合って記録したんです。埋もれた歴史ですから本として後世に伝えたいですね。

トキワ荘の図 ©市川興一

 自分がやる気満々でも、最近は身体が言うことを聞かなくなってきて、イヤですね(笑)。だけど、長編や漫画史など宿題が残ってます。一冊でも多く私だけがやれる仕事を残していきたいです。

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(取材・構成 岸川真)

少女漫画家「家」の履歴書 (文春新書)

週刊文春編

文藝春秋

2022年2月18日 発売

「私をお嫁さんにと思ってたのは本当なんですよ」漫画家・水野英子が語る、赤塚不二夫や石森章太郎と過ごしたトキワ荘での7ヶ月

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