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 解体業者はそのような形で、廃車となった車体の「まだまだ使えるところ」を取り出し、商品として整備工場や他の部品販売業者に売り出していく。外装パーツはもちろん、エンジンやトランスミッション、サスペンションなど消耗品以外の機関部も再利用される。

 外装パーツは基本的に、研磨・洗浄、あるいは簡単な補修を施したのち出荷されるが、機関部は状態によっては一度分解され、劣化した箇所を交換した「リビルト品」として販売されることもある。

売り物になる部品を見分ける「目利き」の力

 中古部品を販売するとはいっても、当然ストックできる量は限られているから、あらゆる部品を取っておくわけにはいかない。入庫した車両を見て、「どの部品が売れるか」を的確に見極め、なるべく早く買い手を見つける必要がある。1台の車両から最大の利益を引き出すための「目利き」が求められるのだ。

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出荷を待つエンジンや補機類

「過去のデータから、『この車のこういう部品が売れている』という情報を抽出して、実際の車を見ながら『ここは部品に、こっちは資源に』というように経路を割り振っていきます。この見極めに時間がかかってしまうと、作業に取りかかれず車庫が埋まっていってしまうので、スピード感が大切ですね」

 そう語るのは、部品管理部門のマネージャーである。コンピューター上でのデータ解析は、現在あらゆる業種において必須となっているが、解体業もその例外ではない。データをふまえつつ、現車の状況に応じた最適解を導くことが、利益確保の生命線になるわけだ。

 傾向として、やはり中古車市場で高値がつくような人気車種のパーツは高値で取り引きされるという。N-BOXなどは需要が絶えず、入ってきたその日に出荷、というケースもあるようだ。

サスペンションなど足回りのパーツも。業者によって得意分野も違うらしい

 販路は国内ルートだけではなく、海外からのバイヤーも訪れる。かつてはハイエースやランドクルーザーといった車種に人気が集中していたが、近年では需要が拡大傾向にあり、「こんな部品まで売れるのか」と驚くこともあるという。とりわけ軽トラ・軽バン系の人気が著しく、スズキ・ダイハツの車両部品は「引っ張りだこ」とのことだった。

 このように、中古部品を販売するにあたっても、そのマーケットは多方面に広がっている。車両を仕入れた際には「資源にするか、部品にするか」だけではなく、「どの部品を、どのルートで売るのが最適か」という点まで素早く見極めなければならないのだ。