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普及に向けた課題は「直接的なメリットの提示」
保険を使った修理において中古部品が積極的に利用されるようになれば、保険会社の支払う補償額も減り、結果的に全体としての保険料低下にもつながりうる。環境面でも経済面でも、中古部品の普及によって生じるメリットは小さくないのではないか。
もちろん、「中古部品の品質」に不安を覚えるユーザーも多いだろう。先の日本自動車リサイクル部品協議会においては、業界内で中古部品の品質基準・保証基準を統一すべく、品目ごとのチェック項目などを定めている。
国土交通省も2002年の段階で中古部品の点検・保証内容に関するガイドラインを策定しているが、環境省のデータを見ると、自動車中古部品卸売業の市場規模は拡大していない。同市場における年間商品販売額は、2002年の「3071億円」に対して2016年は「2420億円」であり、ガイドラインの整備による需要拡大効果は見られない。
中古部品の普及にあたっては、現実的なユーザーニーズに応える訴求方法が必要だ。先の割引制度のように、「環境負荷の低減」という倫理的な観点よりも、直接的・実利的な観点からのアピールが求められるのかもしれない。
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