「PR案件を有名YouTuberに依頼してから約1年、PR動画も投稿されなければ動画撮影用に提供した車両も戻って来ていません。ましてや、言い訳を重ねる始末。ファンでしたが、裏切られた気持ちでいっぱいです」
そう心境を吐露するのは、岡山県でカスタムキャンピングカーの製造・販売業を営む社長のA氏だ。A氏の会社では中古車をカスタムした安価なキャンピングカーを販売している。いったい、A氏に何があったのか。
◆ ◆ ◆
依頼したのは、人気格闘家YouTuber
話は約1年前の2021年1月15日に遡る。
「私は1年以上前、人気格闘家でYouTuberでもある安保瑠輝也さん(26)に、PRの案件をお願いするメールを送りました。自社のキャンピングカーを提供する代わりに動画内で紹介して頂きたいと依頼したんです」
安保瑠輝也は元「K-1 WORLD GPスーパーライト級」のチャンピオンだ。2019年12月には1度防衛に成功したが、2020年9月に山崎秀晃選手との対戦でKO負けを喫し、王座を奪われた。しかしYouTubeチャンネルで配信している町の喧嘩自慢らとスパーリングをする企画などが人気を博し、登録者は現在46万人以上にのぼる。
「町の不良や、喧嘩に自信があるヤンキーらとジムや海辺でスパーリングをするのですが、毎回安保さんが圧勝しています。人気動画の再生数は800万回を超えています。
チャンネルには『てる』と『ジョリー』も出演していますが、この2人は元々、喧嘩自慢として安保さんと戦ったことをきっかけにメンバーになっています。特にジョリーさんは格闘技にも本気で取り組んでいて、安保さんの弟子としてプロデビューを目指し、地下格闘技の大会などに出場しています」(格闘技関係者)
その腕っぷしと“兄貴肌”で、いまや朝倉未来に次ぐ人気格闘技系YouTuberに成り上がった安保。A氏も当初は安保に心酔しており、「ぜひうちのキャンピングカーをPRしてほしい」という思いから、2020年11月15日の依頼メールを送ったのだという。
メールを送った数日後、安保のマネジャーでありYouTubeにも出演する長濱らーめん氏からA氏の携帯電話に着信があった。
「電話ではトントン拍子に話が進み、安保さんのためにオリジナルのキャンピングカーを製作し、そのキャンピングカーを使った動画を配信して頂くことになりました。車両価格は販売するとしたら150万円程度でしょうか。報酬は、キャンピングカーをそのまま差し上げるということで話がまとまりました。
その後はらーめんさん、安保さん、私の3人のLINEグループを作り、そこでどんなキャンピングカーにしたいかなどについて、詳細なやりとりを行っています」