A氏のメール文面と食い違う「テレビ東京の予想外の回答」
取材班は『アノニマス』を制作していたテレビ東京にもメールで事実確認を行った。A氏のメールには《エンドソングをHYと言う事で事務所がテレビ東京とほぼ決で話を進めていたのですが》とあるため、HYの辞退にあたってユニバーサルからどのような説明があったのかを確認するためだ。
「HYを起用する方向で話が進んでいたか」「主題歌変更の経緯」「HYの辞退についてユニバーサルからどのような説明を受けていたか」という3点について質問した。しかしテレビ東京からは以下の回答がくるのみだった。
「そのような事実はございません」
《ほぼ決》で進んでいたというHYの起用自体がなかったということなのだろうか。ユニバーサルミュージックが存在を認めたA氏のメール文面とは、食い違う回答だ。
HYの所属事務所の社長を尋ねると、こちらも事務所から文書で回答があった。
「お問い合わせの件についてですが、契約上の秘密保持義務がございますので、回答いたしかねます」
業界全体で行われる“辞めジャニ外し”とは
前出の伊藤弁護士はこうも語っていた。
「たくさんの人気タレントを擁する大手事務所の最大の武器は、『圧力をかける』という積極的攻撃ではなく『使わせない』という消極的攻撃なんです。ジャニーズ事務所への注意勧告にあたっても、圧倒的に重要な後者を公取が見落としており、前者を注意すれば事態が改善されると単純に考えていた点は非常に痛いです。
実際に、いまも芸能界ではこの消極的攻撃、いわば無言の圧力を怖れた忖度が蔓延しているとみられます。そうなると、結果的に同じようなキャストによる同じような内容の同じような番組ばかりになってしまい、エンタメ業界全体がつまらなくなってしまう」
そうして行われるのが、責任の所在が判然としない状態で、業界全体で行う“辞めジャニ外し”なのだ。
一方で芸能プロダクション関係者はこうも語る。
「公取からの注意勧告以降、ジャニーズ事務所の上層部が法令順守を徹底して行おうとしていることは事実だと思いますよ。故メリー喜多川さんの頃は時代もあって、強硬な姿勢でタレントを“干す”ことも厭わなかったけど、藤島ジュリー景子社長と滝沢秀明副社長に代替わりしてからは、そういう雰囲気はかなり改善されています。
でもジャニーズ事務所が変わろうとしたところで、取引先の忖度がなくならなければ意味がないですからね。ジャニーズは芸能界を引っ張る大組織だから、業界全体の体質改善も考えていかないといけないでしょうね」
「新しい地図」の活躍が目立った昨年も、香取が山本五十六を演じた特集ドラマを始め、草彅剛(47)が出演した大河、3人揃ってのバラエティー番組『ワルイコあつまれ』と、圧倒的にNHKでの起用が多いのも事実だ。2022年は民放で3人の姿が見られるだろうか。
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