――プー・ルイさんはどんな存在でした?
カミヤ リーダーだけどリーダーらしくないというか、助けたくなる存在で、自分の役割を探す余地を作ってくれるんです。「私が引っ張る!」というより、「これはできないからサキちゃんやってよ」という緩さがありつつ、BiSとしてのプライドはしっかり持っている。ブレない軸があるんです。
――ライブに参加して、中から見た熱狂に何を感じましたか?
カミヤ 当時のBiSは研究員の熱量あってこそのライブでした。メンバーから発信することはもちろん、研究員の熱量と相互に作用することで大きなパワーが渦巻いていたんです。それがアドレナリンを生んで、中毒性のあるライブになっていたと思います。
研究員が服を脱いだり、ゴロゴロ転がってくる非現実的な光景が気付いたら日常になってました。BiSが解散して、新しい活動が始まった時に「あの空間が特別なものだったんだ」と気づいたんです。
「どうして上手くいかないんだろう」
――BiS時代、一番キツかった思い出を教えてください。
カミヤ 車中泊ツアーですかね。ご飯がちゃんと食べられなかったり、スタッフの方と衝突したり、メンバーが段々と疲弊していく様子を見ているのがしんどかった。「どうして上手くいかないんだろう」という苛立ちから、初めて運営側に意見しました。それまでは鈍感だったけど、このツアーをきっかけに、まわりの些細な変化も感じ取れるようになったんです。
――それだけ追い詰められた。
カミヤ 初めて我慢できないことに出合ったんです。それまではまわりに合わせて「いいね。それやろうよ」というスタンスだったけど、自分の意見を言わないと悪い方向に進んでしまうこともあるとわかって、内に秘めることを止めました。自分の中で新しい扉が開いたんです。
一方で、そうした苦境さえも表現に変えてファンの方たちと熱狂できるのがBiSの強さなんだと確信できました。だから、グループをやめずにいられたんだと思います。
――個性的なメンバーの中で、自分のキャラクターや立ち位置に悩んだことはありましたか?
カミヤ これは自分の悪い癖で、「空いてる席に行けばいいや」というスタンスだったんです。「ガワ」を取り繕うことはできるので、まわりにはそう見えなかったと思うけど。BiSのレギュラーラジオ番組でゲッターズ飯田さんに占ってもらった時に「やる気がない」と言われて、プー・ルイに「サキちゃん、そんなことないよね?」とフォローされたんです。
でも、第2期BiSで活動した際に「確かにあの時はやる気がなかった」と自覚しました。一生懸命練習するけど、グループに向き合おうとせずに受け身の姿勢だったんです。