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隔離ガチャを生み出す「好みの問題」

 ところが、隔離ガチャの“差異”は、間取りだけではなかった。食事が、人によっては、“当たり”“ハズレ”の基準になる可能性を秘めていることもわかったのだ。

 たとえば、筆者滞在中に税務大学校の夕食として配膳されたのは、「鳥丼」や「かつ丼」といったがっつり系だった。

 かつ丼にいたっては全体に茶色くステップ気候と見まがえたが、ありがたい気持ちに変わりはない。食が細い人にとっては、こういった弁当をハズレと判断するかもしれないが、肉が好きな人にとっては当たりとなる。

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とり丼弁当
かつ丼弁当

 しばらくして、A氏とB氏からアパホテルの夕食、国立保健医療科学院の夕食の情報が届いた。

 アパホテルの夕食は、牛肉とトマトの炒め物、ボイル野菜、紅茶鴨の燻製と野菜のマリネなどおかずが豊富で、デザートにはロールケーキが付いている。国立保健医療科学院の夕食は、酢豚、春雨サラダ、ごま団子などが入った中華風の弁当だった。あくまで個人の感想だが、まぶしかった。

アパホテルの弁当
国立保健医療科学院の弁当

 なお、このような差異は、朝食、昼食も同様だ。朝食を比較すると、税務大学校は菓子パンと野菜フルーツジュース。アパホテルはホットドッグや卵焼き、カットフルーツからなる弁当。国立保健医療科学院は、おにぎり弁当。他2施設に、盛り付けという概念があるのに対して、税務大学校 3日間の朝食は、いずれも菓子パンだったため、欲を言えばサラダ的なものは添えてほしかった。

モヤモヤする気持ちを解消してくれたもの

 人に好みがある以上、どうしても隣の芝生は青く見えてしまう。隔離中の「〇〇が欲しい」は高望みにもほどがあると自覚はしているものの、全員がレギュレーションに則り、きちんと陰性結果を受けて隔離施設に入所する以上、そこに明確な差を感じることは少し悲しかった。そうしたモヤモヤを解消するという意味で、Uber Eatsの利用が認められているのではないかと思う。

筆者の3日間の朝食は、菓子パン2個とジュースのセットが定番だった

 食のバランスを考慮した筆者は、実際にUber Eatsを使用してみた。「1日分のビタミン(ゼリー)」「のむヨーグルト」などを購入。必要な栄養素を補填できるだけでなく、公平感を自らにプレゼントできるという意味でも、施設隔離が義務付けられている間に渡航する予定がある人は、Uber Eatsのインストールをおすすめしたい。家族、友人などからの差し入れ、そしてUber Eatsの利用にGOサインを出してくれた偉い人、ありがとう。

 それにしても、どうしてこのような差異が生じてしまうのか? 疑問に感じた筆者は、施設内のスタッフや 厚生労働省検疫所業務課に話を聞いてみることにした――。

後編へ続く