ようやく施設に到着、そこにあったのは
不意にバスは高速を下り、しばらくして大きな敷地内に停車した。和光市。降車すると、「税務大学校 若松寮」と書かれていた。ビジネスホテルではない、10階建ての団地風の建物。真夜中、目の前に突如現れたぬぼーっとした外観に、隔離=ホテルと思っていた私をはじめとした帰国者は、戸惑っていた。
スタッフが淡々と説明をする。
「いまから皆さんには、ここに“入所”していただきます」
税務大学校でのルールは、ざっくりとだがまとめると以下になる。
・部屋から出てはいけない(ランドリーを使用する場合などは除く)
・飲酒禁止
・禁煙
・提供される食事は朝昼晩の3回
・家族、友人などからの差し入れ可。また、Uber Eatsの利用も可能
・ポケットWi-Fiの支給あり
・何かある際はコールセンターに電話する
「おとなしく部屋にいてください」というわけだが、Uber Eatsの利用許可には驚いた(ただし、現金決済は不可)。生ものや温かいものなどは頼むことはできない。仮に頼んだとしても、階下で没収されてしまう。いずれにしても、必要なものを自分で手配できるのはありがたい。
部屋の間取りは、ユニットバス付きの6畳ほどの1K。また、アメニティは、バスタオル、タオル、テレビ、ドライヤー、電気ケトル、歯ブラシ、シャンプー、石鹸、ミネラルウォーターなどが置かれている。パジャマやカミソリはないので、渡航者はその点を考慮して荷造りをした方がいいだろう。
翌朝、我々がお世話になっている宿泊施設の全体像を認識する。税務大学校の学寮棟は4棟あるようで、それぞれに「〇〇寮」という名前があるらしい。和光市のホームページを見ると、一時待機施設として、昨年12月上旬から「税務大学校」「国立保健医療科学院」「司法研修所」の3施設を開放したことが説明されていた。
隔離先=ホテルというイメージが先行しているが、ネットで調べると宿泊先としての“和光行き”は、今ではオーソドックスな受け入れ先の1つとして認識されているようだった。スタッフの皆さんも実直で、一生懸命対応してくれる様子だった。こうした対応があるからこそ、安心して帰国できることを忘れてはいけないだろう。空港スタッフ同様、24時間体制である。