リンゴの町・青森の市街地は、駅の東側に向かって広がっている。駅前からまっすぐに伸びている目抜き通りは新町通。歩道には屋根が架かっている商店街であり、途中の路地を入れば飲み屋街があったりするような青森イチの繁華街でもある。
駅からちょっと歩いたところにはアウガという大きなビルがあり、中には行政関係の施設が入っている。が、かつては一般の商業施設であった。
青森駅周辺の再開発を掲げて第三セクターとして誕生した施設なのだが、赤字にまみれて潰れてしまい、あのヴィレッジヴァンガードをはじめとする店舗はすべて撤退。市役所の出先機関のようないまのスタイルになった。新町通にはけっこうな人通りもあったのだが、それでもこうしたところに北国の現実が顔をのぞかせる。
と、こうして青森駅前を少しうろついてみたが、青森駅の本質はこんなところにはない。青森の繁華街・新町に向いて建つというのは、青森駅の本来の役割とは違うのだ。
むしろ、青森駅の本質は駅前広場の北側、「ねぶたの家 ワ・ラッセ」や「A-FACTORY」といった観光客向けの施設が建っているあたりにある。
海の方から吹き付けてくる雪がスゴい…!
ワ・ラッセやA-FACTORYの先はもう海だ。青森駅のホームの端っこの方を跨ぐようにして、青森ベイブリッジという大きな橋も架かっている。その下には青森湾の港が入り込んでいて、つまりは青森駅はもうほんの少し歩くだけで青森湾という、やはり徹底的に港町のターミナルなのだ。
なのでそちらに向かって歩いてみよう。と思ったところで雪が強くなってきて、除雪されているのかいないのかもよくわからないところを歩く。滑って転んだりするようなことはなかったが、とにかく海の方から吹き付けてくる雪がスゴい。こりゃあ、雪国の暮らしは大変だなあと思いながら、別に雪山登山でもないので前に進む。
すると、大きな船が見えてきた。フェリー乗り場はここではない。だからこの船は何かというと、青函連絡船である。もちろんいまは青函連絡船はないので、青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸。つまり連絡船で使われていた船をそのまま活かした博物館のようなものだ。