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「これほど難しいアイスはなかなかない」
「ミスをしたら、オットさんは許してくれないんですよ」
今なら、小林師はこう言い換えるかもしれない。
「藤澤さんは、許してくれないんですよ」
土曜夜のROCとの1戦は、序盤は苦しい展開となった。後攻で複数点が取れず、1点を取らされる展開が続いた。試合後、選手たちは「これほど難しいアイスはなかなかない」とコメントしていたほどで、プラン通りに石を置けなかったのだ。対するROCは無難な配置に成功し、各エンドではサードの段階でROCが主導権を握っていることが多かった。
振り返ってみれば、ROCは序盤の出来が良すぎた。カーリングもまた野球と同じように確率の競技であり、試合、あるいは大会を通して、本来の実力のところに数字が落ちついていく。
アイスの難しさは、後半に入ってROCのミスを誘い始める。
第7エンド、サードの吉田知那美の「ランバック」(ハウスの外のガードの石を飛ばして、ハウス内の状況を変えること。わが師は「レイズ」と言っていたが、クラブや地域によって呼び方が違うのだろうか?)が見事に決まり、最後に藤澤が一度も使っていない極めて難しい外側からのドローを決めて、3点。5対5と追いつき、終わってみれば7エンドから10エンドまで連続得点で、日本は軽やかにROCを追い越していった。
土曜に見せた藤澤五月の相手のミスを許さないショット。大舞台での正確性はこの大会の「華」になりつつある。