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養鰻池で発見した「ホルムアルデヒド溶液」

 通訳に聞くと、「甲醛」とはホルムアルデヒドのことだという。「ホルムアルデヒド溶液」……、つまり劇薬のホルマリンである。かつては日本でも養殖に使用されていたが、マラカイトグリーン同様に発がん性が指摘されており、現在は禁止されているはずだ。

「劇薬」のホルムアルデヒド溶液

 念のため、佛山市農林漁業局の水産局に問い合わせてみると、予想外の回答があった。「この辺りの養鰻会社は全て倒産した」というのだ。じゃあ眼前に広がる養鰻池は何なんだ。しかも調べてみるとこの会社、会社登録もない。

香港経由で日本にウナギを輸出していた

 翌日、疑惑を追及するために再度訪れると、養鰻場の責任者の男性がいた。

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「ああ、今年の5月に香港人2人に連れられた日本人が来て、香港にウナギを送ったぞ。ほとんどが日本に輸出されているはずだ。次は来年だな」

 つまり、香港経由で日本にウナギを輸出しているのだ。この近辺の養鰻会社は全て倒産したと聞いた、と質してみる。

「個人の名前で登録している。私の会社はここだけではないからな。自分は昔、報関(税関)だったから心配ないよ。送ることはできる。あなたがほしいのは、大きい蒲焼加工用か? 小さい空輸用か?」

 

 全く悪びれる様子がない。続けて、本題である禁じられた薬剤「甲醛溶液」のことを尋ねてみる。

「生け簀を洗うのに使ったんだ! 池の中には入れてないぞ。使ってないから大丈夫だ。問題ない。あんたは取引がしたいんだろう。取引するのか? そうでないなら帰ってくれ!」

 何を聞いても「大丈夫だ」と「帰ってくれ」を繰り返すばかり。これ以上、調べるすべもなく、疑念を胸にこの養鰻場をあとにせざるを得なかった。