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 このような米軍慰安婦の歴史を今日どのように理解すればよいでしょうか。

 1991年、日本軍慰安婦問題が提起されると、米軍慰安婦の問題も共に提起されました。米軍基地村を訪問して米軍慰安婦の生活実態を調査し、彼女たちの可哀そうな境遇を支援するための社会団体の活動も開始されました。何冊かの読むに値する研究書や資料集も刊行されました。

 その中の一冊、金(キム)ジョンジャ氏が自分の米軍慰安婦としての人生を回顧した『米軍慰安婦基地村の隠された真実』をお勧めします。基地村の抱え主が仕掛けた罠に嵌まって苦しんでいた1人の女性の、苦しくて悲しい人生史が生々しく書かれています。多くの女性たちが、基地村で殴り殺されたり、病死したり、自殺したりしました。人間を隷従させる限りなく残酷な歴史が、韓国社会の片隅で刻まれていました。

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写真はイメージ ©️iStock.com

政治的接近に対する疑問

 しかしながら私は、金ジョンジャ氏の回顧録を編纂した社会運動家たちの主張に、全ては同意しません。私は、延べ人員10万人余りにもなったはずの全ての慰安婦たちが、 そんなに悲惨だったとは思いません。大体、2~3年以内に基地村を脱出するのが一般的でした。米軍慰安婦は、韓国人を相手にした民間慰安婦より境遇が良好でした。社会運動家たちは、米軍慰安婦の問題は国家の暴力であった、と批判します。

 彼らは、米軍慰安婦問題は朴正熙と全斗煥政権の責任だと主張し、国家賠償を要求しています。私は彼らに指摘したい。同時代の全国至るところで発達した私娼街の女性たちはもっと悲惨だった、ということをです。米軍慰安婦が政府の責任であれば、民間慰安婦はもっと大きい政府の責任です。それなのに、どうしてそのことに対しては沈黙しているのでしょう。

 さらに彼らは、慰安婦問題の根源には韓米同盟がある、と主張しています。朴正熙政権は、基地村の浄化事業を行ないました。慰安婦の登録制を実施し、性病検診を強化しました。彼らは、朴正熙政権がそのようにしたのは、在韓米軍に性病に感染しない清潔な性的サービスを提供し、韓米同盟を強化する意図からだった、と解釈しています。また、慰安婦たちを外貨稼ぎの手立てとして動員した、とも主張しています。

 私は、そのような主張に同意しません。政府が慰安婦を対象に性病検診を実施し、強化することは、怠ることのできない政府の責務なのです。1961年、朴正熙政権は、「淪落行為等防止法」を制定して民間の淪落(りんらく)行為を禁止しました。一方で、米軍慰安婦の存在を認めて登録を強制し、検診を強要したのは確かに偽善的です。しかし、私は、私たちの人生そのものがそのように偽善的だと思います。そういうことに対して、韓米同盟を強化するためだとか、ひいては外貨稼ぎのためだと解釈することは、あまりにも政治的だと思います。