2019年の調査によれば、日本の喫煙者数は約1900万~2200万人。あがり続ける税金に縮小し続ける市場と、喫煙者をめぐる環境は変化を続けているが、なかでも社会問題になっているのが「喫煙所」だ。
禁煙場所が増加し、受動喫煙を避けるべく喫煙所の設置が進められた都内でも、えてして文字通り「すみっこ」にあることも多く、「見つけられない」「改装で喫煙所自体がなくなってしまった」という声が聞こえることも少なくない。
ところが、中には神田や赤坂といった都心のど真ん中に大きな無料スペースを確保し、非喫煙者も利用するコーヒースタンドを併設した不思議な喫煙所も生まれている。どうしてこんなに豪華なのか、そもそも無料なのにやっていけるのか……。
そんな“ナゾの喫煙所”「THE TOBACCO」を愛煙家のカンニング竹山氏が直撃。運営する株式会社コソドのCEO・山下悟郎氏に素朴な疑問を聞いた。
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喫煙所って、個人で作れるんですか?
竹山 喫煙所といえば、駅前広場についたてを置いた向こう側とか、大きなビルのすみっこにあるイメージです。愛煙家の僕も、「THE TOBACCO」のことは知りませんでした。商店街の中にある、無料の喫煙所なんですね。
山下 はい。いまのところ、神田、赤坂、東京駅ビル、秋葉原、初台、浅草に店舗があります。先ほど神田店に足を運んで一服していただきましたが、どうでした?
竹山 路面店なのに広さもあって綺麗で、換気もかなり効いていました。「禁煙なんて簡単なものさ、私なんかもう100回以上やったよ」という皮肉のきいた飾りもありましたね(笑)。
山下 オープン当初は「使ってもいいんですか……?」と戸惑うお客さんも多かったんですが、「千代田区指定の公衆喫煙所」というシールをわかりやすいところに貼っているので、ご存じの方が増えました。
竹山 喫煙所といえば、行政やJTがやっているとばかり思っていました。フツーの民間企業が喫煙所を作るという発想がなかったし、ましてビジネスになるとは考えてもみませんでしたよ。
山下 受動喫煙の防止を目的に健康増進法が改正されて、2020年4月から飲食店や職場などの屋内で、禁煙が義務づけられましたよね。それを機に一部の行政が、喫煙所を作る民間業者に助成金を出し始めたんです。
竹山 分煙環境を整えて欲しいということですね。
山下 はい。ただ、助成金の額は自治体によってなかったり額が小額な場合もあります。そのころ僕もちょうど、喫煙所を作りたいなと思っていたんです。THE TOBACCOのオープンは、その2ヵ月後でした。