「嫌われもの」で「市場も縮小」…なぜいま喫煙所を作った?
竹山 なぜ、喫煙所を作りたいと思われたんですか。
山下 僕自身もタバコが大好きなんですが、元々何か社会に貢献する仕事をやってみたかったんです。何か社会問題を解決したいと思って色々と調査すると、タバコが問題になっていることがわかりました。個人的にも感じてはいたのですが、「喫煙所がない」とか、吸わない人からは「煙がひどくて迷惑」みたいな話やポイ捨ての問題です。
考えてみれば、タバコの市場はシュリンクしているし、社会風潮的にも嫌われているじゃないですか。そこに手を出す企業はないだろうし、地味ですけどテーマとして面白いなと思ったんです。
毎日約600本の「吸い殻ポイ捨て」が8割減に
竹山 法律で喫煙場所が減っても吸う人は吸うわけですから、受動喫煙や吸い殻のポイ捨てなどの対策が追いつかないままルール整備が進んでいくのは大きな問題です。一方で、無料の喫煙所を増やすことはたしかにいい解決法だと思うのですが、設置について反対はされないものですか。
山下 事前に、地元商店街などの承認をいただいています。タバコ嫌いの人でも、吸える場所がそこだと決まってくれるならゴミも減るし、路上喫煙も減るのであれば迷惑しないからという理由で、応援してくれます。
現在の6店舗で、反対されたところはありません。むしろ、路上喫煙や吸い殻のポイ捨てが減ってありがたいと言われています。秋葉原の店舗近くでは、毎日500~600本ぐらい捨てられていたタバコのポイ捨てが8割減になったらしいです。
竹山 街の真ん中にきちんと吸える場所があると、昼間はオフィスで吸えない人も休憩に出てきて利用したり、夜はタバコが吸えない店で食ったり飲んだりしていても、「ちょっと一服してくるわ」と抜けてタバコを吸って戻る、という使い方も出来そうです。そういう場所が商店街に3ヵ所くらいあったら、「タバコはあの場所で」という習慣が定着すると思います。
山下 そうですね。「必要な場所にある」というのが、やっぱり理想です。
なぜ「無料喫煙所」で利益が出るの?
竹山 先ほどもお客さんがひっきりなしに出入りしていましたけど、無料でしょう? 社会奉仕にはなるとしても、利益を生み出せるんですか。家賃などの固定費や準備の費用だけでも大変そうです。