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 学生時代も恋愛することなく、ずっと本を読んでいる子でした。文学が好きでそういう道に進みたかったんですが、途中で挫折して、演劇の道に進みました。

 演劇だと別人格を演じるじゃないですか。別人格だとなんでも言えるし、堂々としていられたんですよ。学校ではいろいろと言われてばかりだった自分が、舞台の上では“佐藤”という人格で女子の悪口を言えるんです。それに嘘もつける。これは全部脚本だし、劇だからって、合間に本音を挟める。舞台から降りたら、また端っこにずっといる冴えない女子なんですけどね。

 役者を目指したけど、それも途中で挫折して、ホリプロに入って芸人になることを決めました。ホリプロには当時、女芸人の部門もあり、手厚いサポートもしてくれるようだったので。

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©鈴木七絵/文藝春秋

芸人は結婚できないという思い込み

――人を笑わせる仕事がしたかったんですね。

白鳥 そうですね。小さい頃からテレビっ子でしたので、お笑いは大好きでした。芸人になるって決めてホリプロに入る時に、神社に行ってお願いしたんです。「芸人としてだけはなんとか成功させてください」って。その時に、結婚したいとか、モテたいとかそういう「女」の部分っていうのはすべて諦めました。

 結成2年目で「めちゃ×2イケてるッ!」のレギュラーになり、憧れの光浦さんと共演できて芸人として夢のような経験をさせてもらったんです。シンクロ企画では、高いところから氷水のプールに飛び込むっていう死を覚悟するようなこともしましたし。がむしゃらに芸人道を突っ走っていましたね。でも芸人として成功すればするほど、結婚が遠のいていくような気持ちもありました。

――芸人は結婚できないという思いがあったのでしょうか。

白鳥 当時はそう思っていました。芸人だから仕方ないって、自分に言い訳を作るというか。結局、芸人だろうと何だろうと自分の生き方次第だなって、今は思うんですけど、あの頃はそうは思えなくて。

――過去に何かトラウマが?

白鳥 恋愛に関しては、良い思い出がなくて。中学生の時に好きな人ができて告白しようと彼のお家に行ったんですけど、勇気が出なくて、うろうろして帰ってしまったことがあって。それを他のクラスメイトに見られていて、次の日にクラスで噂されたんです。「白鳥が◯◯の家の周りをうろうろしてた」って。「やめて~! 言わないで~」って感じですよね。

©鈴木七絵/文藝春秋

 そのほかにも「白鳥が恋愛? 無理に決まってるじゃん」って言われたり、名前負けをすることもありました。白鳥久美子って本名なんですけど、字面がなんかいいじゃないですか。会う前から名前で期待されちゃうこともあって。少女漫画が大好きで、よく読んでいたんですけど、自分は一生関係ない話だなって思っていました。

 自信がなかったんだと思います。勉強もできないし、役者としても成功できなくて。芸人としてはなんとか少しずつTVに出ることができるようになったけど、自分の中の承認欲求はどこか満たされない部分があって。それを「芸人だから」って蓋していたんですけど。