学校の担任より尊敬される、部活顧問や習い事の先生
学校が生徒を精神的に成長させる率と、学外の習い事やアルバイト、ボランティアの場で出会う人・経験によって成長させられる率を比較してみたらどうなるだろうか。学校が全て駄目というわけではないのだが、後者の方が圧倒的に学びが多い気がしてならない。
私自身、学校で出会った大人に魅力を感じたことはないし、学校で用意されたイベントや部活動で人格が磨かれたなどと露にも思えない。家庭の要素以外の部分では、幼い頃に通っていた絵画教室の先生や剣道道場の師範からお教えいただいたことで人格の基礎を作ったと思っている。絵画教室の先生には「何にでも挑戦すること」と「人と同じになるな」ということ、剣道の師範には物事を突き詰めることの重要性を教わった。心から感謝している。
一方で、多くの学校教員は生徒から舐められていて、「教えを請う」などという状況になっていない、ましてや人格形成に寄与したなどと振り返ることはないだろう。
学校現場でよく見られる光景として、担任や教科担当者の前では不遜な態度を取っている生徒が、部活動の顧問の前では直立不動であったりきちんと挨拶をしたりするというものがある。生徒にとって自らのやりたいことを指導してくれる人、自分がレギュラーになれるかどうかといった人事権を握っている人は尊重すべき対象となるのだ。
子供の成長につながる、アルバイト経験やボランティア活動
またアルバイトをしている生徒は、時間管理ができるようになったり金銭感覚が身に付いたりするということが言える。言うまでもなく、お金を手にした高校生が放蕩する危惧もあろう。だが、それは管理の問題であって、自己の精神的成長という話と混同してはならない。お金を稼ぐことの重みや、そこで働く社会人や顧客の吐息に触れるだけでも考えるきっかけになるはずだ。
私が留学プログラムでお世話になったカナダのブリティッシュ・コロンビア州では、高校生の間に三つの異なるアルバイトに従事しなければならないというルールがあった。それを経験することで、子供たちは自分の将来や進路について考えるようになるというのである。
IB教育(編集部注:世界で通用する人材を育成するこの教育プログラム。文部科学省は「2018年までに、国際バカロレア認定校を200校に増やす」との目標を発表し、徐々に教育の現場が広がっている)でも「Service」という活動は校外のボランティアなどが中心だ。学外の人間と触れ合い、自己の行為を最大化するよう考えるのだ。どうしたら社会に貢献できる行為になるのか、と。
机の上の受験勉強だけに縛り付けること、社会を知らない教員と自分の親だけに囲まれた生活、学校と家だけの往復に閉じ込めることで子供の本来あるべき成長が阻害されているように思えてならない。
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