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ロリコンだから教員になった・教員を続けている大人たち

 本当に増えた、という実感がある。2018年度に公立の教員で猥褻行為を理由に処分を受けた者は282人となり、10年前と比べて1.7倍だったという(*9)。よく言われることだが、これは氷山の一角に過ぎず、実際にはもっと多いというのが自明だろう。

*9 朝日新聞「わいせつ行為で教員処分、大幅に増加 全国で282人」(2019/12/24[2022/1/15閲覧])

 この惨状を受け文部科学省は、2021年4月より官報に教員免許状の失効公告を実名掲載するとした。今後、その処分理由を、(1)18歳未満の子どもか自校に在籍する児童生徒に対するわいせつ行為やセクハラ、(2)それ以外の人へのわいせつ行為など、(3)交通違反や交通事故、(4)職務上の不正行為、(5)その他、に分けて示すという(*10)。

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*10 日経新聞「わいせつ教員、官報明示 文科省令改正で対策強化」(2021/4/2)

 この282という数字には私立の教員は含まれていないし、部活の外部コーチなどは対象となっていない。少なく見積もっても被害者は10倍はいるだろう。

 実際に接触を伴わず、ギリギリのラインで犯罪行為として認定されていない者も知っている。大量に女子中学生の写真を撮影し、自分のパソコンにストックしている男性教員だ。

 また、教員になろうとする学生には、堂々と「女の子が好きなんで先生になろうと思うんです」という者までいた。こちらとしても、どこまでが冗談で許され、どこからが倫理的違反で、どこからが犯罪なのかという判断と、その後の交流が難しかった。この学生には、やんわりと他の仕事を勧めつつ「先生になるなら、生徒の利益を一番に考えてな」と伝えた。

 かつて、学内で同僚の教員と女子生徒が交際しているという噂が流れたことがある。教員も生徒も非常に大きく動揺し、その話を聞いただけで泣き崩れる生徒まで出た。私に真相を確認しに来る教員や生徒も数多かった。

 また、男性教員が男子高校生にセクハラを行うという事態も起きた。教員は逮捕(後に処分保留で不起訴)され、テレビやネットでも報道され関係者は騒然となった。このときも業務量が激増し、対応に追われたことを覚えている。

 こういう状況で、生徒に「きちんと勉強をしろ」と言うのは難しい。生徒が学ぶのに適切な環境であったと言えないのはもちろんのこと、教員側としても効果的な教育活動ができる場所ではなかったからだ。