いま、ある裁判がインターネット上で話題を呼んでいる。

 宿泊していたホテルの大浴場で「女風呂をのぞいた」として、高校を退学処分となった水泳部の男子生徒3人が高校側に退学の取り消しを求め、訴えを起こしたのだ。

※写真はイメージ ©iStock.com

 少年たちが通っていた高校は「浜商」こと静岡県立浜松商業高校。

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 1899年に創立した伝統校で、甲子園出場の常連校として地元からの評判も高い高校だ。また「浜商」がある浜松市は“フジヤマのトビウオ”こと古橋廣乃進や“水泳ニッポンの父”田畑政治の出身地であることから「水泳の聖地」とも呼ばれている。

 静岡地裁は2月8日の判決で、「(退学処分を下した)校長の判断は裁量権を超えて違法」とし、3年生の男子生徒A君への退学処分の取り消しを命じた(残る2名の請求は棄却)。

 水泳の聖地の街でおきた水泳部による“のぞき事件”の全貌とは、どんなものだったのだろうか。

問題の水泳部がある浜松商業高校 ©文藝春秋

アスリートや学生が多く利用する歴史ある老舗ホテル

 事の起こりは2021年6月19日のことだった。浜商水泳部の男女数十人は、夏の県大会予選のため富士市内の老舗ホテルに宿泊していた。

「市内でも歴史ある伝統的なホテルで、これまでたくさんのアスリートや学生が合宿などで利用しています。かつては五輪の日本代表も合宿したことがあります。ホテルは選手たちからも愛されており、沢山のスイマーのサインや記念品がありました。古橋廣乃進の写真も飾られています。

 ホテルの大浴場はタイル敷きの昭和の銭湯のような感じです。過去にも別の水泳部が合宿中に入浴中の他校の女子生徒を盗撮したことが発覚して大問題になっています。以来、学校によっては男女の入浴時間を変えるなどの処置がとられていましたが、この日の浜商水泳部の入浴時間は男女とも同じ時間になっていました」(ホテル関係者)