──ちなみに、登場人物のなかでお気に入りのキャラは誰ですか?
茅原 私、人間としては仕事を頑張っている「プロフェッショナル」が好きなので、どの登場人物も結局「すごく頑張っている人」になってしまうんですよ。だから、どの子もみんな好きです。
でも現実では、リキヤくんみたいに頑張っているけど方向性を見失ってしまうダメな子がちょっと好きですね。現実にはあんな「クズに見えるけど根は真面目なイケメン」なんているわけないので、あれは100%私の理想を描いた幻なんですけど……(笑)。
──茅原さんご自身を投影したキャラもいるんですか?
茅原 最初、ユリは自分のつもりで描いていました。ドジで失敗ばかりで、見た目もパッとしない。だけど、一生懸命がんばる、というところが私なんですよ。だけど、「かわいい」と人気が出てしまい、とても「自分がモデル」とは言えなくなってしまいました。いまのユリは、キャラが勝手に動いて初回登場時とはまるで別人なので、私には全然似ていないです(笑)。
「漫画家になりたいといういちばんの夢が叶ったので、これ以上の野望はありません」
──キャバ嬢にはまるで不向きだったユリちゃんは、いまやお店のNo.1です。作中で盛大なバースデーイベントをやりたいという夢も実現させましたが、茅原さんもユリちゃんのように何か叶えたい夢や目標はありますか?
茅原 漫画家になりたいといういちばんの夢が叶ったので、これ以上の野望はありませんが、いまのこの楽しい生活が続けばいいな、と。
──Twitter投稿の書籍化などの予定はないのですか?
茅原 それもよく聞かれるんですが、あれはあくまで、フォロワーさんのネタをマンガとして描かせていただいているだけなので、書籍化するつもりはありません。
でもTwitterの投稿は、『ヒマチの嬢王』の取材にも役立っていて、活かせるところは活かしていきたいなと。一人でも多くの方に『ヒマチの嬢王』を読んでいただきたいし、一日でも多く思い出してもらいたいです。
(撮影:山元茂樹/文藝春秋)
『ヒマチの嬢王』とは…歌舞伎町の元No.1キャバ嬢・アヤネ。都会の喧噪に嫌気がさし、実家でグウタラ生活を送っていたが、母の一喝で、“ヒマチ”こと鳥取県米子市の歓楽街・朝日町(あさひまち)にある母親の「スナック」をしぶしぶ手伝うことになる。そんな中、元彼を名乗る同級生ジュンと遭遇。「夜の街」での二人の出会いが、朝日町を、米子市を、ひいては鳥取全体を活性化させる展開へと広がっていく。すべての中間管理職に捧げる、読者数200万人超えの鳥取キャバクラ経営マンガ。