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「スイスは藤澤五月の仕掛けた“誘い”にハマった」 カーリング・藤澤を決勝で待つ“イギリスの顔”が放った“一言”

2022/02/19
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スイスは日本の仕掛けた「誘い」にハマった

 実は、日本は前日も同じ第5エンドを0対0のブランクエンドとし、第6エンドに後攻を持つプランを選択していた。ところが、前日は吉田知那美のSTONE 12でテイクアウトのミスが起き、ブランクエンドが難しい状況になった。そして藤澤がラストロックでヒット&ステイで1点を取らなければいけなくない場面で、石は無情にもハウスを越え、2点のスチールを許した。そこから日本は主導権を失ったが、スイスはこうやって相手を徐々に追い込んでいく戦いがうまい。

 準決勝の日本も同様にブランクエンドを志向していると思ったが、スイスのSTONE3が日本の12時半の石を打ち出した後、センターラインから少しずれた。

 これに藤澤が反応した。次のSTONE 4でコーナーガードを置き、攻勢に転じたのだ。

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 ここでも保守的に戦うことは出来ただろう。しかし、藤澤は前日と違って仕掛け、スイスはこの戦いに乗らざるを得なくなる。

©JMPA

 結果を見ると、スイスは日本の仕掛けた「誘い」にハマった。

 このエンドのスーパーショットは、サードの吉田知那美のSTONE 10と12だ。

 ハウス前に置かれた2つのガードの間を抜け、画面左側に隠れる格好で石を置くことに成功した。

 これは“Port”と呼ばれるショットで、イメージとしては海戦で敵船の間を突破し、敵湾内に決死で突入する感じだ。

 吉田のストーンは敵船の間を抜け、突入に成功した。

 守勢に回ったスイスはSTONE 14で、この10番と12番を押すプランだったが、相手フォースのペイツは、手前の日本のガードに引っ掛けた。敵船に衝突し、あらぬ方向に石が飛ぶ。しかもTラインの奥。英語実況者が言った(NHKオンラインでは英語実況が聞ける試合がある。これは本当に勉強になるし、楽しい)。